『半沢直樹』が撮影断念、来年以降に延期?「3密不可で30%は無理!」

日刊大衆

『半沢直樹』が撮影断念、来年以降に延期?「3密不可で30%は無理!」

 5月15日、NHKは大河ドラマ麒麟がくる』と朝の連続テレビ小説エール』(いずれもNHK)の放送を、一時休止すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、先月から収録の見合わせが続いているといい、『麒麟がくる』は6月7日、『エール』は同月27日まで放送を行い、休止に入るという。

 民放でもドラマの放送休止が相次いでいる。放送が進んでいた『美食探偵明智五郎』(日本テレビ系)も、5月17日放送の6話を最後に通常放送を休止すると発表されている。

「コロナの影響で放送開始を延期している作品もありますが、終息の目途は立っていないですし、今後の予定も立てられません。ドラマ枠の扱いもどうなるわかりませんし、俳優さんのスケジュールだっていつまでも押さえられない。問題が山積みで今後どうすれば良いのか……」(ドラマ制作会社関係者)

 すでに放送が発表はされているが、いつ開始するかは未定のドラマの数々。最悪の場合は、このまま放送されない可能性もあるという。

「7月と10月クールのドラマには、すでに企画中止が決定したもがいくつかあるといいます。来期以降だけじゃなく、今期のドラマでも放送できないまま中止になる作品があると言われていますね。『美食探偵』や『SUITS/スーツ2』のように、すでに何話か放送してしまったものは、休止を挟んで続きが放送されると思います。しかし、『半沢直樹』(TBS系)や『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日系)のように、まだ1話も放送されていない作品は、そのまま中止になる可能性があるでしょうね」(民放キー局関係者)

■緊急事態宣言が解除された地域なら…

 日本政府は5月14日、47都道府県のうち39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を解除した。

「ドラマの撮影については、現在は6月1日から再開が可能なのではと見られていますね。一方で“東京での撮影は無理でも、緊急事態宣言が解除された地域のスタジオなら今すぐにでも……”との声が、現場から上がってくることがあるようです。

 ただ、こうした意見を実現するには至っていないといいます。地方の人からしてみれば、まだ緊急事態宣言が解除されていない東京から撮影スタッフが大挙してくるわけで、それは現地の人にとっては受け入れがたい。やはり倫理上まずいということですよね。

 それに、6月1日から撮影を再開できても密閉、密集、密接の3密を避ける必要があるでしょう。ドラマの内容もですが、やはり感染防止対策は重要ですから、思うようなシーンが撮れない場面も出てくると思います」(前出の民放キー局関係者)

 3密を避けた場合、最も注目されているドラマ『半沢直樹』に大きな影響があるという。

「『半沢直樹』は、重要なシーンほど3密です。銀行員の話ですから、当然、会議室での激突シーンは外せません。2013年版でも、多くの名場面がありましたからね。最終話で、堺雅人さん(46)演じる半沢と、香川照之さん(54)演じる大和田常務との対決が描かれた取締役会の場面も会議です。

 2020年版の原作にあたる『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)でも、役員会が頻繁に出てきます。特に、ホテルの会議室で行われる帝国航空の債権放棄についての合同報告会の場面は非常に重要です。『銀翼のイカロス』を原作にしている以上、このシーンが外されるとは考えにくく、名シーンになるのは必至でしょう。ただ、会議室で、多くの役員が出席するシーンですから、間違いなく3密。

 加えて2013年の最終話、半沢と大和田常務は、唾がかかる距離に顔を近づけ、ド迫力の言い合いをしました。名役者2人の至近距離での濃厚な演技のぶつかり合いが、視聴者の興奮を呼んだのは間違いないでしょう。その名場面にソーシャルディスタンスなんてへったくれもない。密閉、密集、密接、3密かと言われたらその通りで、感染症対策の面から見たら、最悪の状況でしょう。ただ、そんなことを気にしたら、良いシーンは撮れないですよね」(前出のドラマ制作会社関係者)

■ベストな状態で撮影を

 前出のドラマ制作会社関係者は続ける。

「『半沢直樹』の現場で3密を避けることを徹底するならば、撮影再開後、会議室や役者同士がソーシャルディスタンスがとれていないシーンは外すしかないでしょう。ただ、本当にそんなことをすれば、つまらないものになってしまう。半沢が大和田常務や新たな敵と対峙するシーンで、両者がソーシャルディスタンスを保っていたり、対決が電話での言い合いなどになってしまえば、迫力も何もないものになってしまう。適切な距離を保った上での“倍返し!”なんて見たくないですよね。

 視聴者の心に響かない作品になれば当然、視聴率は落ちていきます。2013年版の『半沢直樹』は、初回は20%に届かない視聴率でした。しかし、“とにかく面白いから見たほうがいい”と口コミが広がり、第7話で30%超え。そして最終回では40%を超える記録的な視聴率を記録しました。やはり話題性だけでは大ヒットにはならない。作品のクオリティが問われるのは間違いないことです。今回の続編はさすがに40%は難しいとしても、30%は取って欲しいという期待がTBSや制作陣にはあると思います。しかし、現在の撮影に足かせのある状況下で、不本意な撮影を決行すれば、作品の質の低下につながり、それで視聴率が下がってしまったら、目も当てられませんよね……」

 日本ドラマ史に残る大ヒットを記録した『半沢直樹』。その続編だけに、ベストな状態で撮影したいというのは、作り手側にすれば当然の願いだろう。

「3密を避けるという縛りがあっては、俳優陣も思い切って演技ができないと思います。それは『BG』もそうでしょう。また『BG』は撮影再開にあたって、スタッフ全員がマスクを着用、ロケは極力減らし、スタジオ内は通気を良くして中に入る人数も限定する、ということですが、エキストラが多く集まるシーンも厳禁とのこと。人数が多いからこそできる、迫力あるシーンは撮影できないというんです。

『BG』も木村拓哉さん(47)を代表する作品になっていくでしょうが、特に『半沢直樹』は日本ドラマ史に残る作品。今回の続編放送までに、堺さんの事務所の意向を組んで7年もの時間がかかりました。ようやく巡ってきた続編の制作にスタッフも出演者も前作を超えるものを作ろうと気合いが入っているでしょうし、絶対に中途半端なものは作りたくないはずです。だからこそ、何かと制約が多い中、急いで作るのではなく、ベストな状態で撮影できるまで待つ。だから、来年以降で改めて出演者のスケジュールを調整して、仕切り直そう、という話が出ていきていると聞こえてきています」(前同)

 中途半端な『半沢直樹』は誰も観たくない。最高の「倍返し」を期待しつつ、視聴者もじっくり待つ必要があるかもしれない……。

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