志村けん『エール』ドラマ初出演で“いかりや長介超え”の伝説へ (2/3ページ)
志村さんが演じる小山田がドラマに登場すると、さっそくその「重鎮感」が話題となったが、セリフがそれほど多くない中、志村さんは笑いがいっさいない演技でこの偉人を表現しようとしてきた。
中でも、5月15日放送のシーンが実に見事だった。穏やかな笑顔でアイスを食べ、うれしそうにしていた小山田が、直後、裕一から、小山田と同じ青レーベル(西洋音楽のレーベル)で作曲したいと話しかけてきたことで豹変。「古山くん。赤レーベルではどんな曲を出したのかな? 君は赤レーベル専属の作曲家だよね」と、冷たく言い放ったのだ。このひと言だけで、青二才の裕一との格の違いを印象づけた。言いようのないシブさと威厳を見せる志村演じる小山田にゾクッとした。
説明するまでもなく志村さんは、ザ・ドリフターズのメンバーとしてコントを行い、以降も喜劇の世界で生きてきたコメディアンだ。ドリフの先輩、故いかりや長介さんが『踊る大捜査線』(フジテレビ系)などで俳優としての地位を確立した後も、コメディアンであることにこだわった。俳優としての仕事は唯一、大好きな故高倉健さんから直電オファーが届いたということで出演した1999年の映画『鉄道員』だけで、コントひと筋、喜劇を極めてきたのだ。
志村さんの演技を見ると、セリフだけでなく視線の送り方や仕草といった、言葉以外の表現力の幅広さに驚かされる。これは70歳を超えるまでコメディアンであり続けた、彼だから成せる技だ。顔やアクションだけで日本中の笑いをとってきた男は、どうすれば人に芝居が伝わるのかを熟知していて、シリアスなシーンをやっても、やはり達者だった。