キスマイ“ヤラセ”番組も『爆報』も延命⁉コロナでゾンビ番組が発生!
5月15日、NHKは大河ドラマ『麒麟がくる』と朝の連続テレビ小説『エール』(いずれもNHK)の放送を、一時休止すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、先月から収録の見合わせが続いているといい、『麒麟がくる』は6月7日、『エール』は同月27日まで放送を行い、休止に入るという。
民放でも、回を重ねていた『美食探偵明智五郎』(日本テレビ系)が、5月17日放送の6話を最後に通常放送を休止すると発表。さらに『半沢直樹』(TBS系)や『ハケンの品格』(日本テレビ系)といった名作ドラマの続編はまだ1話も放送できていない。
「ドラマだけではなくて、バラエティ番組でも『アイ・アム・冒険少年』(TBS系)の初回放送が5月25日にずれ込みましたし、放送が遅れてしまったものも出てきています。また、リモート収録や過去の総集編を流す番組もあります。そんな状況なので、番組の評価がつけられない状況なんです。ですので各局、秋の改編を行わないことが、横並びでほぼ決まったとも聞こえてきます。秋の改編は凍結し、来年1月に大きい改編をしようという流れになっているといいますね」(制作会社関係者)
本来であれば、視聴率が伸びない、狙い通りにはいかなった、トラブルがあったなどの番組を終わらせ、新番組をスタートさせるのがテレビ局の番組改編。これが今秋は見送られる方向とのことで、命拾いをする番組が出てくるというのだ。
民放キー局関係者は話す。
「秋の改編がなくなれば出てくると言われているのが、本来はその命を終えるはずだつた番組、通称“ゾンビ番組”です。ゾンビ番組とは、視聴率低迷が続き、評判も良くない。つまり局としても何も期待をしない、終了したも同然の番組のことです。本来であれば、今年の秋の改編で終了になっているはずの番組も、改編が凍結になれば生き延びてしまうケースも出てくるでしょうね」
■爆笑問題の人気番組に抗議!
前出のキー局関係者は、“ゾンビ番組”の一例として爆笑問題がMCを務めるバラエティ番組『爆報!THEフライデー』(TBS系)の名前を挙げる。
「『爆報!THEフライデー』は、かつて一世を風靡したものの、現在はテレビで目にすることがなくなってしまった芸能人の現在や、意外な第2の人生を歩んでいる芸能人や有名人を紹介するほか、芸能人の介護問題なども取り上げる番組です。数年前まで15%前後を記録する大人気番組だったんですが、最近では一桁に低迷。今や視聴率が取れないため、放送回数自体を減らしているとも聞こえてきます。
数字が低くなった理由は、番組内容が“あの人は今”的なものや、過去の芸能ゴシップを取り上げたりする週刊誌のような内容のため、ネタが枯渇してしまったことが要因だと考えられます。また、現在はそうした番組が求められていないという声もありますね」
5月22日、過去、『爆報!THEフライデー』に密着取材を受け、何度も番組に出演しているプロ野球元日本ハムファイターズ監督の大島康徳氏(69)が、自身のブログで同番組への怒りをぶちまけた。
大島氏は、自宅に欠陥が判明し、建て直すことになった際、同番組の密着取材を受けたのだが、建築費用を公開することを拒否したにもかかわらず、勝手に公開され、しかもその金額が実際とは違っていたという。大島氏は、プライバシーが侵害されたとして番組サイドに抗議し、「これを公に放送してしまった以上、訂正と謝罪も公にすることが筋である」と番組と話し合いを続けてきたが、最終的にはそれは叶わず。謝罪の手紙が最終的な答えだったとして、現在の納得いかない気持ちともに、番組の責任者から届いた手紙を、ブログ内で公開している。
「複雑な人間関係やトラブルを題材に、ギリギリのところを攻める番組なのでこうした抗議、クレームなどはほかにもあるのでしょう。ただ、出演者との事後の話し合いが上手く調整できないというのは、番組としてはかなりしんどい状態ですよね。
TBS関係者によると、MCの爆笑問題はそのままに、新たな企画を立ち上げ、新番組をスタートさせたいということのようです。番組スタッフは総勢80人近くいるそうで、それぞれの生活もあるのでチームを解体するわけにはいかない。ですので新番組を立ち上げる必要があるとのことですが、今秋の改編がないとなると、不調であっても『爆報!THEフライデー』が、しばらくは続くのかもしれませんね」(前同)
■長寿バラエティもゾンビに?
TBSでは、2015年からレギュラー放送が始まったバラエティ番組『この差って何ですか?』(TBS系)も苦戦中とか。
「世の中のさまざまな事象の中の差を追跡するという番組です。たとえば、冷房25度と暖房25度の差や平熱が高い人と低い人の差を調べるといった内容です。数年前には15%近い数字が取れて、バラエティ番組の週間視聴率でもトップ10にも入っていたのですが、最近ではトップ10にも入らなくなってきました。ネット上では“最近ネタ切れ感否めない”との意見も見られますし、そろそろ厳しいのかもしれませんね」(前出の制作会社関係者)
日本テレビでは、国民的人気コンビの長寿番組の名前が挙がる。
「1993年から放送が続いているバラエティ番組『ダウンタウンDX』(日テレ系)ですね。実はこの番組、少々ややこしくて……」
と前出のキー関係者は続ける。
「『ダウンタウンDX』は4月23日の放送回で3月に亡くなった志村けんさんを特集し、13%の好成績を残しました。しかし、それ以外の通常放送では一桁。日テレ局内では、“ダウンタウンが出ているのにもったいない”や“ダウンタウンならもっと数字がとれる。もっとやりようがある”といった声も多くあるといいます。そういう意見が出るように、本来であれば、日テレサイドもダウンタウンを起用した新番組をやりたいようなんですが、『ダウンタウンDX』を制作しているのは、系列の読売テレビなんです。系列といえども別会社なのでそこは口は出せない。日テレ内では、あの木曜日22時の枠を戻してもらって新番組を、といった声もあるそうですが、そうもいかないようですよ」
■キスマイのイメージ低下につながる!?
テレビ朝日のバラエティ番組では、『日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館』(テレビ朝日系)に、ネット上で厳しい意見が寄せられているという。
「日本人の3割しか知らない豆知識を紹介していくのに、SNSでは“もうネタ切れじゃないか?料理やってる人は常識だよ、知ってる話でしょ?”という声も見られます。
2019年8月には、“塩水で雑草が枯れる”という豆知識を紹介。番組でも“塩水が土壌に悪い影響を与えるので、やる時は自己責任でお願いします”と注意喚起まで行われていました。ただ、この方法は割と認知度が高い上に、やってはいけないと認識している人が大半。わざわざ危険な方法を取り上げて批判が殺到しましたが、この頃からネタ切れだったのでしょうね……」(テレビ誌記者)
Kis-My-Ft2が出演する『10万円でできるかな』(テレビ朝日系)。110万円分の福袋を買うと得なのかなどの企画を放送しているが、この番組にも“ゾンビ懸念”が。
「この番組で人気なのが、10万円の宝くじを購入する企画です。しかし、2月20日発売の『週刊新潮』(新潮社)が、実際には10万円の数倍の資金を費やして、スタッフが事前に宝くじを購入していたと報道。さらに10万円で土地を借り、キノコを栽培する企画でキノコが全然育たなかったため、チーフディレクターの指示でスタッフがスーパーまでシメジを買いに行き、接着剤で地面に貼りつけて、栽培したかのような演出もあったと報じました。
テレビ朝日は2月25日の定例の社長会見で宝くじ企画のヤラセは否定したものの、キノコ企画の件については報道を認めて謝罪。この影響で“もう何の企画を観ても仕込み ヤラセ感拭えないよ”との意見がネット上でも見られ、信用がガタ落ちしてしまっています。キスマイのイメージを低下させないためにも、本来なら次の秋の改編で終わるべき番組なのかもしれませんね」(前同)
■“お台場の帝王”はアンタッチャブル
フジテレビでは、今や“お台場の帝王”となった坂上忍(52)の番組が、ゾンビになろうとしているとか。制作会社ディレクターはこう言う。
「まずいのは『坂上どうぶつ王国』です。坂上さんの他の番組、『バイキング』と『直撃!シンソウ坂上』(ともにフジ系)の調子が良いため、打ち切りを持ち出せないといいますね。横並びが、不調で打ち切り説が強い『爆報!THEフライデー』なので、それは上回るときもあるそうですが、金曜のゴールデン番組としては力不足という評価。
2019年4月からレギュラー放送が始まった同番組ですが、実は視聴率の深刻低迷で開始3か月ほどでフジの幹部が坂上さんに新番組の企画を提案しに行ったこともあったそうです。しかし、坂上さんは激怒して拒否。というのも、『坂上どうぶつ王国』で出てくるロケ地は、坂上さんが自腹で購入した土地で、坂上さんは“こっちは腹決めて、自費で土地を買って人生かけてやってるのに、たった3か月で『打ち切りましょう』ってどういうことだ!”と怒り心頭だったそうです。
坂上さんは今やフジテレビの絶対君主。しかも、坂上さんの中で『坂上どうぶつ王国』が一番、やりたい番組だそうです。なので視聴率が多少良くない程度では、『坂上どうぶつ王国』が終了することはないでしょうね」
このように、さまざまなゾンビ化懸念番組があるが、今秋の改編がなくなれば、チャンスも生まれるという。
「大幅リニューアル、企画の見直しなどで視聴率が回復する可能性は十分あるでしょう。『ダウンタウンDX』だって今でこそトークバラエティのイメージですが、以前はクイズ番組だったときもありました。番組内容も、何度もモデルチェンジをしながら長寿番組になったと言えますし、他の番組だって新たな企画がハマれば、復活のチャンスはあるでしょう。ただ、良いリニューアルができず、斬新な新企画も生まれなければ、次の改編まで“ゾンビ”が公共の電波を徘徊するかもしれませんね……」(前出のキー局関係者)
“ゾンビ番組”は、再び、生を取り戻せるのだろうか……。