ヒトラーの愛したワニがモスクワ動物園で死去。享年84歳
image by:Facebook / Moscow Zoo
第二次世界大戦を生き延び、アドルフ・ヒトラーのお気に入りだったと言われている伝説のミシシッピワニ「サターン(Saturn)」が、ロシア・モスクワ動物園で息を引き取った。84歳だった。
死因は老衰だという。ミシシッピワニの寿命は、野生下では寿命が30~50年と言われている。飼育下ではあるが、サターンは大往生を遂げたようだ。モスクワ動物園が自身のFacebookで発表した。
・サターン、波乱に満ちたワニ生
ミシシッピワニ(アメリカアリゲーター)のサターンは、1936年にアメリカで生まれた。その後ドイツ・ベルリンの動物園に移された。空襲により仲間たち数頭が死んだ後、1943年11月23日にこの動物園を脱走。
1943年、ベルリン動物園は第二次世界大戦の空爆に襲われ、爆弾の1つが水族館を破壊した。20頭のワニが殺されたが、数匹はなんとか生き伸びて逃走、その中にサターンもいた。
その後3年間、サターンがどこにいたのかは不明だが、1946年、ベルリンに駐留していた英軍により発見され、旧ソ連(現ロシア)に引き渡された。
在りし日のサターン
・ヒトラーのお気に入りのワニだったという伝説
サターンがベルリン動物園にいた頃、ヒトラーは頻繁に動物園を訪れていたそうだ。サターンはヒトラーが個人的に収集したワニだったとする歴史家もいれば、単にヒトラーはほかの動物よりワニが好きだっただけという歴史家もいる。
モスクワ動物園では、例えサターンがヒトラーのものであっても、「動物は政治は何の関係もない、人間の罪と動物は切り離して考えるべきだ」と主張する。
image by:Facebook / Moscow Zoo
ロシアに輸送されたサターンは、その後74年間をモスクワで過ごすこととなった。モスクワ動物園では、サターンを特別なゲストとして大切に飼育していたようだ。
食の好みがうるさく、ブラシでマッサージされるのが大好きだったというサターン。飼育スタッフらは、サターンのそばにいられたことを光栄に思っているとコメントした。サターンが満ち足りた気持ちでいてくれたことを心より願っているとも。
モスクワの国立ダーウィン博物館では、サターンに捧げる特別展が開催される予定だという。
References:Moscow Zoo / RT