そもそも”売るもの”が違います。「芸者」と「花魁」を見分ける方法とは?

Japaaan

そもそも”売るもの”が違います。「芸者」と「花魁」を見分ける方法とは?

どちらも華やかな芸者と花魁、見分けるポイントは?

「芸者」「花魁」は、どちらも江戸時代から現代に至るまで、その華やかさと艶やかさで大人気です。近年では観光名所などで芸舞妓さんや花魁の衣装を着てヘアメイクもして記念写真を撮る女性たちも多くなっています。

しかし「芸者」と「花魁」は、華やかさという共通点こそあるものの、全く違う職業です。にもかかわらず、実は近年「この両者の違いが分からない!」という方が多くなっています。

匿名の質問掲示板に「花魁と舞妓さんの違いはなんですか?」と書き込まれているのも見かけますが、芸者と花魁を、一般人の私たちが見分けられるような「違い」はあるのでしょうか?

そもそも「売るもの」が違う

当然と言えば当然ですが、芸者と花魁は「売るもの」がそもそも違っていました。芸者は芸を売り、花魁は身体…だけでなく、身体も含めた「女性との理想の恋愛」を売るのが仕事でした。

今様美人揃 梅川楼上みな吉 (歌川国貞 画)

町芸者の場合は、芸者も遊女と同じように客を取ることが半ば公然と行われていましたが、江戸幕府公認の遊郭である吉原では芸者と遊女の職務領域は厳密に分けられていて、隠れて客を取った芸者には追放処分などの厳しい制裁が加えられることもありました。

体を売る芸者は江戸時代「蹴転」と呼ばれていた。”芸者は体を売らない”は建前だった?

帯を結ぶ場所

花魁といえば、大きくて華やかな帯を前結びにしているのが特徴です。

その理由は、花魁の格の高さを表す豪華な帯の最も豪華な部分を見せつけるためだったとも、花魁に「一夜妻」という意味合いがあることから、本来は既婚者の印だった前結びをしていたともいわれています。

画像出典:Wikipedia『花魁』

しかし、同じように豪華な帯を締める芸者は、帯を前結びにすることはありません。京都の舞妓さんも、華やかなだらりの帯を締めていますが、結んでいる場所は後ろです。

このことは、江戸時代初期には既婚者が前結び、未婚女性が後ろ結びだった女性の帯が、「前結びは邪魔になる」という理由で時代とともに前結びが廃れ後ろ結びに移行していったことを考えると、納得できます。

芸者は踊りや楽器を披露するのが仕事ですので、もし大きな帯が前側に結んであったらそれらの邪魔になってしまいますよね。

着物の裾を持つ手は右か左か

芸者も花魁も、「お引きずり」と呼ばれる裾が長い着物を着て、外を歩く時は裾をからげて手で持ちます。このとき、着物の裾の端の「褄(つま)」を持つ手が、芸者は左手、花魁は右手です。

左手で褄を持つと襦袢の合わせ目から手を入れることができなくなるため、芸者は「芸を売るが、色は売らない」ということで、このようになっているのです。

芸者を「左褄」と呼んだり、芸者になることを「左褄を取る」と言ったりすることがありますが、その由来もここにあります。

花魁は色を売るのが仕事ですから、逆に右褄を取っています。また花魁の衣装が元々意味していたといわれる花嫁衣装も、右褄を取るのが一般的です。

参考:Studio七色「花魁と芸者(芸舞)はどう違うの?」

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

「そもそも”売るもの”が違います。「芸者」と「花魁」を見分ける方法とは?」のページです。デイリーニュースオンラインは、花魁芸者江戸時代カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧