地球の磁場が弱まる怪現象。2つに分裂する可能性も(ESA)
地球の磁場に異変/iStock
欧州宇宙機関(ESA)が公開した衛星データによれば、地球の磁場(地磁気)が弱まっている領域は相変わらず成長しており、やがては2つに分裂する可能性もあるという。
特に問題となっている地磁気が弱い領域は「南大西洋異常帯」だ。ヴァン・アレン帯における異常構造で、南アメリカからアフリカ南西部にかけて広がっている。
・南米から西へ成長する地磁気の異常帯
1970年代以来、毎年20キロずつ西へ勢力を拡大してきた「南大西洋異常帯」だが、ESAの人工衛星「SWARM」の最新データからは、ここ5年の間に、その中に特に地磁気が弱い2つ目の中心が出現しつつあることが示されている。
このプロセスがこのまま進めば、南大西洋異常帯はやがて分裂し、南アメリカ中部に中心を持つものと、アフリカ南西部沿岸に中心を持つものの2つに分かれる可能性もあるようだ。
South Atlantic Anomaly impact radiation
・過去200年で磁力が9%低下
地球から発生している「地磁気」は、磁極の位置を定めているほか、一種のバリアとして作用し、太陽風や宇宙線から私たちを守ってくれている。
そのために、一見私たちにはまったく無関係に思える地磁気の強さの変化が、地球での暮らしに大きな影響を与えたとしてもおかしくはない。
南大西洋異常帯のもっとも磁力が弱い部分は、ここ50年で2万4000ナノテスラから2万2000ナノテスラに低下し、さらに地球全体で見た場合も、過去2世紀で地磁気の強さが平均9%低下しているのだという。
とは言っても、現時点でそれほど警戒すべきことはなさそうだ。ESAによれば、今の段階でのもっとも大きな影響は、人工衛星や宇宙船に搭載されている機器の誤作動におおむね限られるとのこと。
そうした機器については、南アメリカや南大西洋上空を通過する際に、より多くの電荷粒子にさらされることもあるだろう。

South Atlantic Anomaly impact radiation
・地磁気の逆転は起きるのか?
南大西洋異常帯が分裂しつつある原因は謎に包まれている。
地球の地磁気は、外核内部に溜まっている溶けた鉄が移動することで電流が生じ、そこから発生していると考えられている。こうした地磁気は、一定期間に区切れば安定しているかのように見えるが、長いタイムスパンではまったくそうではない。
流動的であるばかりか、およそ数十万年に1度の周期で向きが逆になり、北極と南極が入れ替わることすらある(なお、地球の自転軸が反転する、いわゆる「ポールシフト」とは別物)。
ただし、地磁気逆転と現時点で南大西洋異常帯で観測されている現象とに関係があるのかどうかは分からない。
一説によれば、南大西洋異常帯は、アフリカ大陸の下にある密度の高い岩石(アフリカ大規模S波低速度領域/African Large Low Shear Velocity Province)が原因で、こうした地磁気の崩壊は数百年ごとに定期的に起きている可能性もあるようだ。
References:ESA - Swarm probes weakening of Earth’s magnetic field