「コロナ抗体検査」実体験ルポ!費用8000円のキットで自宅採血、郵送したら… (3/3ページ)
陰性で万歳です」
むぅ‥‥そう言われても、どうも腑に落ちない、と考え込んでいると、
「仮に陽性だったということは、一度はどこかでかかっていますからね。たとえ無症状だった場合でも、ウイルスが一度体内に侵入していたとするなら、それなりに体内細胞は(ウイルスに)アタック(攻撃)され、弱っている。かからないに越したことはないんです」
あらためて「よかったですね」と、明るい口調の医師。後日、検査結果が書かれた証明書が郵送されてきた。
本当によかったのか。抗体がないって、怖くないのか。いまだ釈然としない記者は、かつて何度か診察を受けたことがある総合病院の内科医師に聞いてみることにした。すると─。
「抗体検査、したの? 残念ながら今の抗体検査は、陰性なのに陽性と判定される偽陽性や、陽性なのに陰性と判定される偽陰性も報告されていますよ。しかも、自分で採血して行う検査は感度に欠けます」
そして内科医師は、さらなる「核心」について話し始めた。
「それ以前に、陽性だったら、それはそれで大問題です。保健所に報告して、すぐにPCR検査を受けなきゃいけませんから。自分がいつかかっていて、誰にうつしたか、気になるでしょ。さらに言えば、せっかくついた抗体が再感染のリスクを高めたり、逆に症状を悪化させることがあるとも、一部で言われている。陰性だったから、陽性だったから、といって一喜一憂しなくてもいいんです」
保健所に報告してPCR検査、そして正式に陽性と判定されれば、日々報道される「今日、確認された感染者は●人」に自分もカウントされることになる。
確かに抗体があったらあったで、だいぶ前に感染していたのか、それとも最近感染したのかもわからない。最近だとすれば、もしかして昨日あたり誰かにうつしたのでは‥‥などとよけいな心配も出てくる。
そもそも「抗体アリ=もう感染しないから安心」というぼんやりと抱いていた「常識」はまったく不正確だったのだ。抗体があったところで何の保証もなく、大手を振って街を歩くわけにはいかない。「よかったですね」の意味がようやく理解できた。
先の内科医は抗体検査の実態について、こんなことも教えてくれた。
「抗体検査は他のウイルス感染症で確立されているものもあるけど、新型コロナウイルスに対してはデータの蓄積が不十分。今、スイスやアメリカ製の信頼性が担保された抗体検査には日本も期待しているみたいですが、その場合は静脈中の血液を医師や看護師が採取することが必須。やはり専門家がきちんと処置しないと、正確さには欠けますよ」
あぁ、「免疫パスポート」の夢はどこへ─。正しい知識が不可欠と、今さらながら実感したのだった。