〈企業・経済深層レポート〉将来的な肉不足に対応する地球に優しいスーパーフード“昆虫食”が日本を救う? (1/2ページ)
無印良品で知られる良品計画(東京)が、5月20日から昆虫のコオロギを材料にした「コオロギせんべい」のネット販売を始め、注目を浴びている。国内では良品計画以外にも続々と“昆虫食”という新ジャンルにチャレンジの動きが広がりつつあり、「タピオカの次は昆虫食ブームか」という声もあるほどだ。
実際、英国の国際金融グループ「バークレイズ」の調査によると、昆虫食市場はすでに世界全体で1080億円(2019年)に達しており、’30年までに約8600億円規模のビッグ市場になると予測されている。フードアナリストが昆虫食の最新事情を明かす。
「無印のコオロギせんべいは、コオロギを粉末にしてせんべいに練り込んだ一袋55グラム、消費税込190円のお手頃な商品で、余計な材料を使わずコオロギの味を活かしている。そう言うと抵抗があるかもしれませんが、日本人にはおなじみの『かっぱえびせん』に似たような味です」
本来、店舗とネットの両方で販売する予定だったが、新型コロナの影響でネットのみの販売となった。販売ボリュームは明らかにされていないが、即完売というから注目度の高さがうかがえる。
それにしても、なぜ昆虫食がにわかに注目されているのか。背景にはいくつかの理由がある。先のフードアナリストが言う。
「その一つは’13年、国際連合食糧農業機関(FAO)が将来的にタンパク質クライシス(危機)が起こることを想定し、昆虫を人間の食用、または家畜の飼料にすることを推奨したことです。これを契機に、世界が昆虫食に注目するようになりました」
FAOをはじめ多くの国際機関では、現在、約77億人の世界人口が、’50年には約100億人に迫ると推計している。この間、世界は発展途上国などで食生活が向上し、肉需要が急増。そのため’30年ごろから牛、豚、鶏などの食肉が不足するようになり、やがて地球規模で「タンパク質クライシスに陥る」と警鐘を鳴らしたのだ。農水省関係者も指摘する。
「世界の肉不足を補おうと家畜を急激に増やせば、放牧地確保のために森林伐採などが起こり、大規模な環境破壊につながります。しかも、かねてから家畜のゲップはメタンガス大量発生の原因とされており、増産となればさらに地球温暖化を加速させる。