少しの燃料でコスパ抜群!七輪の語源は”七厘の炭”で煮炊きが出来るコスパの良さから? (2/3ページ)

Japaaan

しかし、厘が使われ出したのは明治時代以降で、江戸時代以前からあった七輪の語源としては不適切なんじゃないかと思ったら、江戸時代の百科事典『和漢三才図会(わかん さんさいずえ)』にこんな記述がありました。

「……薬を煎り、酒を暖め、炭の価僅か一分に至らず、因って七輪(七厘)と称す……」

よく野球の打率なんかで何割何分何厘と言うように、分の1/10という意味でなら、厘という値段の表現もありえなくはありません(七は語呂合わせでしょう)。

一分(いちぶ)には金貨と銀貨があり、金貨(一分金)は一両(約8~10万円)の1/4なので約2~2.5万円、その70%でも約1.4~1.75万円、たとえ一か月分のガス代と考えても、ちょっとエコノミーとは言い難いですね。

一方の銀貨(一分銀)は約120~150円、その70%なら約84~105円なので、一食分としても悪くないコスパと言えそうです。

ちなみに、江戸中期(1700年代)の木炭相場は1俵(約15㎏)で銀三匁(もんめ。一匁は十分で約1,200~1,500円)と言われ、七厘(0.7分)なら約350gの木炭が買えるので、量的にも十分そうですね。

七厘の重さ

さて、厘という重量単位は一匁(ここでは3.75g)の1/100なので0.0375g、それを7倍して0.2625g……いくら熱効率がいいと言っても、さすがに1gにも満たない木炭できちんと煮炊きするのは難しそうです。

こうして両説を比べてみると、『和漢三才図会』でも言及されていた「炭の値段」説の方がより説得力を感じられます。

終わりに

そんな七厘の漢字表記ですが、江戸時代の句集『誹風柳多留』には「五輪(塔)も七輪も石屋彫つてる」という句があり、五輪塔が表現している宇宙の五要素(空、風、火、水、地の五輪)に二要素をプラスして、縁起を担いだのかも知れません。

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