ちょっとそれ嗅いでみたい。宇宙の匂いの香水が開発され、販売が決定
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宇宙ってどんな匂いがするのだろう? 宇宙飛行士らによると、宇宙には地球にはない”独特の匂い”があるそうで、ステーキが焼けるような、火薬のような、金属の焼けたような、それでいて果実のラズベリーのような甘い匂いが入り混じったようなものだという。
そんなニオイを基にした香水『Eau de Space』がこのほど開発された。現在、クラウドファンディングサイト「キックスターター」で制作費用の資金提供を呼びかけられているが、既に目標金額をはるかに超えた資金が集まり、販売化は決定しているようだ。
・宇宙のニオイってどんなにおい?
ディスカバリーの宇宙飛行士ドミニク・“トニー”・アントネリさんは、2009年3月の取材で次のように語っていた。
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スペースウォークの後、ステーション内に戻って宇宙服を脱ぐと、宇宙のにおいがヘルメットや服についているんだ。
確かに、宇宙には異なる独特なにおいが存在するよ。
また、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在経験を持つペギー・ウィットソン飛行士は、宇宙のニオイを「的確に表現するのは困難」と前置きしながらも、次のように形容している。
発砲直後の銃のにおいに似ている。スモーキーで焦げたような臭いだ。火薬のような臭いでもあるし、表面を炙ったステーキ、ラズベリー、ラム酒などの臭いが混ざり合ったようなにおいだ。
このように、宇宙飛行士たちは何十年にもわたり宇宙のニオイを独特なものと発言してきた。
そんな宇宙のニオイが、今回香水として開発されることになった。
What does Outer Space smell like? NASA designed Fragrance. Eau de Space
・NASAと提携、宇宙の香りが詰まった香水『Eau de Space』
現在、クラウドファンディングサイト「キックスターター」で、宇宙の香りが詰まった香水『Eau de Space』の制作費用への資金提供が呼びかけられている。
2020年8月17日が締め切りとなるのだが、既に目標金額をはるかに超えた資金が既に集まっており、商品化されることとなるだろう。
製品マネジャーのマット・リッチモンドさんによると、この香水は化学者のスティーヴ・ピアース氏によって開発されたという。
ピアース氏は、イギリスのOmega Ingredientsという会社の創設者で、食品及び飲料業界向けに最高品質のナチュラルフレーバー成分作成に従事している。
2008年に、宇宙のニオイを再現するためにピアース氏はNASAと既に契約をしており、その開発に4年の年月を費やした。
これは、元々宇宙飛行士が宇宙空間に出る前の訓練時に利用するために作成されたということだが、宇宙のにおいを事前に知ることによって、宇宙飛行士らが実際の宇宙空間で直面したり経験したりする可能性がある予期せぬ驚きを排除することが目標の一部だったそうだ。
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・子供たちの知的好奇心に繋がることを期待
今回の香水の開発における目標を、リッチモンド氏はこのように述べている。
この香水が、体験型教育の場で宇宙についての関心を広める会話に繋がったり、子供たちがSTEM(科学、技術、工学、数学)教育に興味を持ってくれるようになったりすることを目標としています。
いわゆる宇宙の匂いを知るためのもののようで、普通の香水のように、体にふりかけてお出かけする用の匂いではなさそうだ。
もしこの香水をつけて外出しようもんなら、ちょっとした異臭騒ぎを起こすことになるかもしれない。
なお、同氏は月の香りと呼ばれる香水の発売も検討中であることを明かした。
ちなみに、惑星の表面はとても臭いと言われている。例えば、火星は鉄や硫黄、二酸化炭素の混合物によって腐った卵のようなニオイを発しているという。
また、金星から発せられるガスのニオイはアンモニア臭ということで、こちらも香水になっても誰もつけたいとは思わないような独特の臭いだそうだ。
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What does Outer Space smell like? NASA designed Fragrance. by Eau de Space — Kickstarter
written by Scarlet / edited by parumo