建物を真っ白に塗って暑さ対策。太陽熱を大幅に反射させ冷却効果を高めるテフロン入りの純白塗料の開発

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建物を真っ白に塗って暑さ対策。太陽熱を大幅に反射させ冷却効果を高めるテフロン入りの純白塗料の開発
建物を真っ白に塗って暑さ対策。太陽熱を大幅に反射させ冷却効果を高めるテフロン入りの純白塗料の開発

特殊な白のペンキで冷却効果 image by:Mariordo / wikimedia commons

 ジメジメした日々が続くが、梅雨が明けて夏が本番を迎えれば、太陽の光を反射して涼しさを保つには、黒よりも白い服がオススメだ。白色は太陽光の光を反射してくれるからだ。

  カリフォルニア大学ロサンゼルス校(アメリカ)の材料科学者たちは、これをぐっと突き詰めて、太陽から届く光のほとんどを反射してしまう純白ペイントを考案している。

・建物を真っ白に塗ることで得られる冷却効果

 建物を真っ白に塗れば、建物の温度を下げられるどころか、その周囲の微気候まで変えられるというアイデアは以前よりあった。

 たとえば2012年にNASAは、白いコーティングを利用することで、「ニューヨーク・シティの屋上の温度を平均24度下げられる」という研究を発表している。

 こうした点において、これまでで最高の市販製品は、85%の太陽放射反射率を誇るガラスから作られた塗料だった。

 だが今回の研究チームが開発した塗料は、それを大きく凌駕する。

白く塗られた建物
iStock

・テフロン入りの重晶石で最大反射率98%

既存の反射性塗料で重要な働きを担っていた素材が「酸化チタン」だ。これは可視光と近赤外光の大部分を効率的に反射してくれる。しかし、紫外線と紫光を吸収してしまうという弱点もあった。

 そこで研究チームが見出した酸化チタンに代わる素材が、「重晶石」と「テフロン(ポリテトラフルオロエチレン)」を組み合わせたものだ。さらに、熱を吸収しがちなポリマー接着剤の量を減らすという工夫も施された。

 こうして完成した新しい反射性塗料は、太陽放射の最大98%を反射することができるという。

 これを建物を塗れば、室内をエアコンでガンガンに冷やす必要がなくなり、冷房コストを削減することができる。

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image by:Jyotirmoy Mandal / UCLA

・純白の新塗料の実用化間近

 新塗料は効果的でありながら、それほど手間をかけずとも実用化できるはずだという。塗料産業やコーティング産業は、現時点ですでに新塗料を生産する対応力を十分に備えていると研究チームは述べている。

 ならば近い将来、テフロン入りの反射性塗料が身の回りで使われるようになるかもしれない。冷房が苦手で、夏なのに寒さで辛い思いをしてきた人なら待ち遠しいはずだ。

この研究は『Joule』(5月29日付)に掲載された。
Paints as a Scalable and Effective Radiative Cooling Technology for Buildings: Joule
https://www.cell.com/joule/fulltext/S2542-4351(20)30179-3
References:UCLA/ written by hiroching / edited by parumo
 光の反射率が98%の純白塗料とか、光の吸収率99%を超えるあの超黒塗料、「ベンタブラック」の真逆の発想だね。暑い時期には確かに良さそうだけど、寒い冬の時期だとどうなるんだろう?

 温度に応じて真っ白になったり真っ黒になったり夏は真っ白、冬は真っ黒に一瞬にして変化する新素材とかあると便利かな。
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