『半沢直樹』初回22%!「時代劇・ハズシ・音楽」TBS勝利の3連コンボ

日刊大衆

堺雅人
堺雅人

 今年最大の話題作というべきTBSの日曜ドラマ『半沢直樹』。7月19日、本来の4月スタートから3か月延期されたものの、ついに初回が放送された。20日に発表された第1回の視聴率は、22%(ビデオリサーチ調べ・関東地区=以下同)と近年まれにみる高い数字で、2013年の大ヒットを記録した前シリーズの第1回の19・4%を上回っている。

『半沢』は堺雅人(46)演じる主人公・半沢直樹が、「やられたらやり返す。倍返しだ!」をモットーに激しく社内駆け引きを行う企業ドラマで、13年に放送されたシーズン1の最終回は、平成ドラマ1位となる42.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、社会現象となった。そんな大ヒットドラマの7年ぶりの続編ということで、放送前から期待が高まっていた。

 第1話の放送直後から、ツイッタートレンド1位となるなど、大いに盛り上がりを見せている半沢。近年『テセウスの船』や『恋はつづくよどこまでも』など、TBSドラマの勢いには目を見張るものがあるが、今回も波に乗れるのだろうか。

「『東京中央銀行』から子会社『東京セントラル証券』に出向させられた半沢が、様々な謀略に巻き込まれるわけですが、市川猿之助(44)演じる東京中央銀行の証券営業部部長・伊佐山泰二が、今回の悪役として半沢たちの前に立ちはだかります。1話から強烈な存在感を発揮する悪辣な伊佐山に、半沢がおなじみの“倍返しだ!”と宣戦布告したことで、視聴者を大いに湧かせましたね」(専門誌記者)

 伊佐山はまるでヤクザのようなやり方と口調「知らない」「知らないね」「知らないよ」と小ばかにし強烈な顔芸で半沢を煽るなど、とても分かりやすい『悪いヤツ』。「まるで悪代官」「もはや時代劇」との声も上がっていた。

■半沢直樹=現代風時代劇!?

「シーズン1のころから、複雑な駆け引きや専門用語はあるものの、大筋は、“分かりやすい悪役が半沢チームに成敗され、最後は因果応報で失脚し、視聴者がすっきり”という、時代劇のような勧善懲悪の流れがありました。今回はそれをより強調した印象を受けますね。半沢の“倍返しだ!”も、『水戸黄門』の印籠や、『暴れん坊将軍』の“余の顔を見忘れたか”のような、圧倒的なカタルシスを感じさせます」(ドラマ評論家)

 国民的時代劇だった『水戸黄門』を筆頭に、かつてTBSは、数多くの時代劇作品を大ヒットさせてきた実績がある。『遠山の金さん』や『大岡越前』などなど、一度は聞いたことのある時代劇のビッグタイトルが名を連ねているため、そのノウハウと遺伝子が半沢にも生きているということか。

「シーズン1でインパクトのありすぎる演技を見せた、半沢の仇敵・大和田常務を演じた香川照之(54)や、オネエの入った金融庁のキレ者・黒崎役の片岡愛之助、そして今回新登場した伊佐山の市川猿之助、そして企業買収の危機を迎えるIT会社社長の瀬名役の尾上松也(35)。売れっ子の歌舞伎俳優がこれだけ顔をそろえているのも、時代劇要素を色濃く感じさせる要因の1つですね」(前同)

■新しい風も欠かさない

 そして、時代劇のような伝統にのっとるだけではなく、新しい要素やチャレンジ精神あふれる“ハズシ”ともいえる配役も必ず用意している。これは『半沢~』だけでなく、最近のTBSドラマ全体に言えることだ。

 近年のTBSドラマのチャレンジ精神はめざましいものがある。20年のドラマでは、『テセウスの船』では、演技経験ゼロの霜降り明星せいや(27)に超重要人物を演じさせたり、刑事ドラマ『MIU404』では、初回でまるで映画のようなカーアクションを見せたり、第3話では菅田将暉(26)が事前告知なしのサプライズで出演し、準レギュラー入りしたりと、視聴者の予想を超える展開を重ねている。

「今回の『半沢』にも、 “就職氷河期世代で苦労し、バブル世代を嫌悪している若手社員・森山”として賀来賢人(31)が出演しています。賀来は実力派で実績もありますが、ベテラン揃いで30代後半ですら若手レベルの『半沢』では、群を抜いて若い。

 にもかかわらず、1話では口だけの上司に理詰めで歯向かったり、“いいように使われるんですか!”と理不尽さに激怒したり、堺と同等に渡り合っていることから、SNSでは“賀来賢人すごい”“振れ幅がヤバい”と大盛況でした」(専門誌記者)

『テセウス』と同じく、いわゆる”芸人俳優”からも、目が離せない。第1話の時点でお笑いトリオ・東京03の角田晃広(46)が小物感あふれる銀行出向組・三木を熱演し、見事な小悪党ぶりを披露した。時代劇で言うと、越後屋のような腰巾着のポジションが絶妙にハマり、ドラマを大いに盛り上げている。大筋が原作通りなら、今後も超重要な存在として活躍すると考えられる。

 また、配役は明かされていないが、名バイプレイヤーの側面も持つお笑い芸人、アンジャッシュ児嶋一哉(48)も出演が決定している。こうしたキャスティングの妙には、今後も期待が高まるばかりだ。

■重厚なメインテーマ

「さらにもう1つ、TBSドラマに欠かせない点として“音楽”の要素があります。7月18日放送の『ぴったんこカンカン』では、綾瀬はるか(35)が、自身が出演した09・11年の『JIN―仁―』の最終回を“”家で見てすごく泣きました“と話していたんですが、その際に流れたJINの音楽に触れて、”TBSさんのドラマは、全部音楽が素晴らしいですよね“と話していました。

 半沢も、重厚感のあるメインテーマが印象深いですよね。主題歌や挿入歌がないのに、ドラマが非常に盛り上がる。7月18日の『音楽の日2020』では、作曲した服部隆之氏の指揮のもと、オーケストラ生演奏が披露されるほどの人気を誇っています」(音楽雑誌記者)

 シーズン1が放送された13年の『東洋経済オンライン』で、『半沢』の演出を務める福澤克雄氏は、「女性キャラが少ない」「恋愛がない」「わかりやすく視聴率を取れるキャラクターが少ない」と同作がこれまでのドラマ界の常識から外れていることを指摘し、社会現象となるヒットを全くの想定外としていた。当初はテレビのメインターゲット、女性層は見ないと考えられていたのだが、福澤氏はインタビューで、

「でも、いざ、フタを開けてみたら、女性が見ていた。テレビの常識がいかに適当だったか、マーケティングというものがいかにアテにならないか、ということでしょう」

 と語っている。ブレることなく主題歌も、分かりやすい恋愛もなくスタートしたシーズン2。「時代劇・ハズシ・音楽」の3大要素で、今後も視聴者の期待に応えてくれることは間違いないだろうーー。

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