「魔王」の時間を削って初載冠!藤井聡太「AI超え」を証明した衝撃の一手 (2/2ページ)
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この場面で藤井七段が守りに入ってしまえば形勢が紛れる余地があっただけに印象的でした。おそらく、自玉が詰まないことを見切って指したのでしょう。他の勝ち筋も見えて、迷いが生じる展開でもありました。手数が進むことで指し手の正しさが明らかになりましたが、あのせっぱ詰まった局面で攻めに踏み込めるプロ棋士はほとんどいないでしょう」(屋敷九段)
相手の得意戦法を受けて立ち、終盤の勝ちパターンにつなげる藤井らしさが発揮された対局だった。反対に渡辺は、難解すぎる中盤に迷いが出たところを一気に押し切られたような形となった。
「渡辺二冠は見通しが立てばビシビシ指していけるタイプ。中盤の方向性がなかなか決められなくて長考が相次いだ影響で、持ち時間を減らしてしまいました」(屋敷九段)
泰然自若の藤井に対し、渡辺は時には相手を翻弄するようなリアクションで形勢逆転することもあるが、今回ばかりは終局間際には持ち時間をなくして1分将棋を余儀なくされてしまう。もはや焦りを隠しきれなかったのか、口を開いて視線を盤上から外す姿や、必要以上に顔を扇子であおぐシーンも。
藤井も昼食明けに60分の長考となったが、むしろ平常運転。第3局で黒星を喫してからわずか1週間の間隔にもかかわらず、自身が課題としている時間配分を補うように、逆に相手の時間を削る指し方へと「進化」を遂げていたのだ。