ビートたけしの名言集「『次期北野映画』の“キャスティング会議”」 (1/2ページ)

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ビートたけしの名言集「『次期北野映画』の“キャスティング会議”」

 まったくの運だけでビートたけしの弟子になり、殿の周りをウロチョロするようになって、すでに四半世紀が経つわたくしですが、いまだに毎回ワクワクすることといえば、「次の映画はよ、ちょっとまたヤクザの話をやろうかって思って」といった具合に殿の口から直接、「次期北野映画最新情報」を聞かされる瞬間です。殿は、思いついた映画の構想やアイデアを、惜しげもなくバンバン弟子に語って聞かせてくれます。

 で、13年程前、まったく仕事のなかったわたくしを見るに見かねた殿から「お前、ヒマなら俺の映画の台本でも手伝うか?」と、夢のような提案があり、台本作成作業に参加させていただいたことがありました。その時、殿は「よし、じゃーちょっと順番どおりしゃべっていくからよ‥‥」と、映画の最初から最後までのストーリーをかなり細かく、一度休憩を挟みながらも、時間にして約1時間程しゃべりつくしたのです。後日“北野映画専用のボイスレコーダー”で殿のしゃべりを録音した音声を台本にまとめてみると、その台本はすでにほぼ完璧な形で、1時間50分程の映画になっていて、大変驚いたのをよく覚えています。

 ちなみにその映画とは、2008年公開、北野映画14作目「アキレスと亀」です。で、次期北野映画のストーリーを、北野武監督から直接聞くワクワクと、漏れなくセットで付いてくるワクワクが、「ほら、あの目がギョロっとした『○○』に出てた役者いたろ? あいつなんか××の役にいいと思ってよ」といった具合に、殿がどの役者をキャスティングするつもりでいるのか、誰よりも早く知れる瞬間だったりします。

 以前、殿の中である超大物俳優さんの主役起用をあらかじめ決めて、まるまる1本、台本を作成したことがあったのですが(結局、実現はしませんでした)、その時、脇を固める役者さんを決める“ちょっとしたキャスティング会議”的な雑談があり、ずうずうしいわたくしは「殿、おでん屋のこのオヤジは、○○さんなんかいい感じじゃないですか?」「殿、ホームレスは○○○さんなんてどうでしょう?」と、好き勝手な発言すると、殿は「確かにいい感じだな」「うん、○○さんはいいな!」等々、わたくしがあげたキャスティング案を、どれもこれもかなり好感触で受け止めていたご様子で、実に楽しい時間となったのです。

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