防災管理のプロが教える「台風&豪雨で死なない」10か条

日刊大衆

写真はイメージです
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 今年、例年になく日本列島付近に停滞し続けた梅雨前線。その影響はすさまじく、大量の雨によって河川の氾濫や土砂災害などが起き、各地に甚大な被害をもたらした。7月3日以降、熊本県など九州地方を襲った大雨は「令和2年7月豪雨」と名づけられ、特定非常災害に指定されている。

 7月15日時点で70人の死者を生んだ今回の豪雨災害。だが“豪雨の季節”は梅雨明けから本番を迎える。台風はもとより、晴れ渡った夏空から一転、急速に発達した積乱雲によってバケツをひっくり返したようなゲリラ豪雨も起きる。

 これらを、たかが雨と侮ることができないのは、ご存じの通りだ。そこで本誌は家、路上、車と、大雨に見舞われた状況ごとに、「死なないための対策」を、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏に指南してもらった(以下、コメントはすべて渡辺氏)。

 まず家にいて、台風やゲリラ豪雨に襲われたら、どうするべきか。住んでいる家が台風の進路にあり、かつ、自治体のハザードマップなどで浸水想定区域にある場合、必ずやっておきたいのが事前の浸水対策だ。「外から浸水しなくとも、トイレの汚水が逆流してくるケースがあります。それを防ぐため、水のうを準備しておくといいでしょう」

 作り方は簡単。ビニールのゴミ袋を二重にし、中に水を貯め込んでおくだけだ。「それを便器の中に入れておけば逆流を防げます。その他、浸水しそうな場所に土のう代わりに置いておくといいでしょう」

 事前に準備する間もなく、突然のゲリラ豪雨に襲われたら、どこに逃げるべきか。「一戸建ての場合には2階、マンションでも1階に住む方は2階以上の共用部(エレベーターホールなど)へ避難しましょう。その際に必ずスマートホンを携行しておくこと。たとえば、家の2階にテレビなどがなくても、スマホがあれば、その後の大雨の情報を知ることができます」(同)

 次に、外を歩いていてゲリラ豪雨に襲われたら、どうしたらいいのか。「焦って移動しないことです。まず、近くにある高い建物(オフィスビルなど)を探して、そこに避難してください」

 台風が近づいている場合には、合羽が必須アイテムになる。台風で強風が吹けば、傘は何の役にも立たなくなるからだ。もう一つ、長靴はNGと心得てほしい。「足と靴の隙間から水が流れ込み、重くて歩けなくなります。それよりも、歩きやすいスニーカーの紐をしっかり結び、出かけるといいでしょう」

 台風接近中に、やむなく外出しなければならないときには、必ずスニーカーをはいてもらいたい。

■車に乗っている際も要注意

 意外に、その危険性が見落とされがちなのが車に乗っている際、豪雨に遭遇したケースだ。このまま目的地まで進むべきか、それとも車を降りて安全な場所で待機するべきか、どう判断したらよいのか。「タイヤの半分以下が水につかる程度なら進んでもいいでしょう。ただ、半分以上が浸水すると、まずマフラーに水が入ってエンジンがかからなくなる。エンジンを吹かし続け、水が入らないようにしてください」

 だが、トンネル内やガード下のアンダーパスなど、周りより低地になっている場所は水が集まり、想像以上に水深があるケースも。「タイヤ全体が水につかるくらいになると、エンジンルームが水に浸かり、電気系統がショートして動けなくなってしまうので、即、Uターンしてください」

 それでも、水の深さを見誤って侵入してしまい、車が立ち往生したら、車を乗り捨てて自力で脱出するしかない。だが、ひとたび水没すると、窓を開けられなくなる可能性が高い。「今はほとんどの車がパワーウインドウ。電気系統がダメになっているので、あとは窓を割るしかありません。よく傘の先端で窓を割ろうとする人がいますが、そういう状況で窓を割る実験では、脱出用のハンマー以外に割れるものはありませんでした」

 命綱となるハンマーを必ず車載すべきだという。「ただし、ハンマーで窓が割れても、慌てて脱出しないことも重要です。割れたガラスで体が傷だらけになる恐れがあるからです。焦らず、安全に脱出できるまで待ちましょう」

 命に関わる集中豪雨に備えて、この10か条を心にとどめておいてほしい。

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