アスファルト舗装した土地と更地では大きく異なる税務関係

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アスファルト舗装した土地と更地では大きく異なる税務関係

土地をお持ちの方が、駐車場などに利用することを目的に、更地である土地にアスファルト舗装をすることがあります。アスファルト舗装した土地と更地、同じ土地であることは間違いありませんが、税務の考え方としては大きな違いがあります。それは、アスファルト舗装した場合の舗装費用は、土地ではなく、構築物という土地に定着する別の資産として取り扱われるという点です。
このことから、アスファルト舗装した土地と更地には大きな違いが生じます。

■消費税の違い

これらの土地を貸した場合、その賃料に対する消費税の取扱いは大きく異なります。アスファルト舗装とした土地を駐車場として貸せば消費税が課税されますが、更地のまま土地を貸しても消費税は課税されません。土地の貸付けは原則として消費税が非課税とされていますが、アスファルト舗装した駐車場は構築物という施設の貸付けでもあるため、この非課税が適用されないのです。

■減価償却の違い

加えて、減価償却にも大きな違いが出てきます。減価償却とは、建物などの固定資産の取得価額について、その耐用年数に応じて少しずつ費用とする手続きですが、更地である土地に減価償却は認められません。なぜなら、土地は永遠に使える資産だからです。

一方で、アスファルト舗装した土地は、土地そのものに減価償却は使えないものの、舗装したアスファルトの費用は構築物という資産ですので、一定の期間に渡り、減価償却することができます。

■譲渡所得についても

その他、これらの土地を個人が譲渡した場合の取扱いについても、大きな違いがでてきます。土地の譲渡については、その所有期間に応じ、税率が高い短期譲渡と税率が低い長期譲渡に分け、それぞれ個別に課税されます(分離課税)。一方で、構築物の譲渡については、譲渡所得に該当するものの、不動産所得や事業所得などの他の所得と合算した上で、合算した所得金額に応じ税率も大きくなる累進課税で課税されます(総合課税)。このため、更地部分は分離課税、アスファルト舗装部分は総合課税になり、売却代金をそれぞれの時価などに応じて按分して計算する必要があります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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