普通養子縁組を協議離縁した場合の公正証書遺言の効力はどうなるか (2/2ページ)

心に残る家族葬

筆者の考えとしては、民法第1023条1項「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす」同2項「前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する」とあるが、協議離縁した結果養子ではなくなったこと、墓守をするという前提もなくなったため、一切の贈与は受けることはできない、つまり従兄には夫婦の財産は一切贈与する必要は無い旨を回答し、最終的には弁護士と相談して欲しい旨伝えたのだった。回答後暫く経過してから件の知人から連絡がきた。弁護士と相談した結果は筆者の回答と同じく、従兄に贈与する必要はないとのことだった。

■最後に…

立場を変えてみると、折角財産を受贈できたはずの従兄にとって、公正証書遺言の安全性に準拠して贈与を受ける権利を主張すべきところだったはずだ。しかし、前述の民法の規定により当事者つまり従兄の法律行為によって公正証書遺言は全ての法的効力を失う結果となった。安全性が高いとはいえ、当事者同士の法律行為に抵触すれば当然無効となることも充分に有り得る。安全性はあくまでも法令に則った行為においてのみ保障されるべきものであって、抵触した行為をすれば無効となることについて充分に注意するべきなのではないだろうか。

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