「ミイラ取りがミイラになる」の意味とは?

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「ミイラ取りがミイラになる」の意味とは?
「ミイラ取りがミイラになる」の意味とは?

「ミイラ取りがミイラになる」。初めて聞く人も、「意外と言うよ」という人もいるかもしれません。

「ミイラ取りがミイラになってどうする!」という表現を見聞きすることもあります。

意味を知らない人でも、何となく喜ばしい状況ではないことだけは感じられるのではないでしょうか。早速調べてみます。

■「ミイラ取りがミイラになる」の意味

「ミイラ取りがミイラになる」とは、次のような意味です。

ミイラ取りがミイラになる 人を連れもどしに出かけた者が、そのまま帰ってこなくなる。転じて、相手を説得するはずが、逆に相手に説得されてしまう。(『広辞苑 第七版』岩波書店)

「ミイラ取りがミイラになる」の語源

「ミイラ」はポルトガル語からで、漢字では「木乃伊」と当て、死体が腐らずに乾燥して固まったもののことをいいます。

ミイラをはるばる探しに行った者自身が、ミイラになってしまうことに由来しています。ミイラ取りはなぜミイラを探しに行ったのでしょうか?

古来、エジプトでは、死者の復活が信じられていました。脳と内臓を取り出してそれぞれつぼに入れ、死体は数十日間薬液に浸け、後に乾燥させて防腐剤を塗り、麻布で厳重に巻き、ミイラとしてからひつぎに納めました。

古代末期から中世にかけて、このミイラから取れるミイラ油が万能薬として珍重されたそうです。そこで、人々は貴重な薬を求めてミイラを探すようになったのです。

しかし、砂漠の旅はもちろん過酷。行き倒れになってしまったミイラ取りが、乾燥した気候の下でミイラになることもありました。

こうしたことから「ミイラ取りがミイラになる」とは、

・連れ戻しに行った人が役目を果たすことなく、とどまってしまい帰ってこない

・説得しに行ったのに、逆に説得されてしまう

という意味を示すようになりました。

■「ミイラ取りがミイラになる」の使い方(例文付き)

さて、日常生活や仕事において、「ミイラ取りがミイラになる」状況とは、どんな場面があるでしょうか。

場面と共に例文を挙げて紹介します。

◇誰かを探しに行った人が帰ってこなかった時

以下の例文のように、誰かを探しに出掛けた人がそのまま帰ってこない、というような場面で使用します。

☆例文

・「佐藤さんがいない」と探しに行った斉藤さんまで、帰ってこなかった。ミイラ取りがミイラになるとはこのことだ。

◇説得するはずが、逆に相手に説得されてしまった時

次の例文のように、当初相手を説得するはずで臨んだが、かえってこちらが説得されてしまい立場が変わったという場面でも使用できます。

☆例文

・再開発する地域で住民説明会を行なった。しかし、一部の社員が開発反対派に回ってしまった。まさに、ミイラ取りがミイラになってしまった。

「ミイラ取りがミイラになる」の言い換え表現

ここでは、「ミイラ取りがミイラになる」の言い換え表現として、似た意味を持つことわざや言葉を紹介していきます。

◇ことわざ

誰かを探しに行って帰ってこない。説得しようとした相手に説得される。このように、初めに意図したことと違う結果になってしまう場面は少なからずあります。

「ミイラ取りがミイラになる」と似通った意味合いを持つことわざを以下に挙げます。

☆「木菟引きが木菟に引かれる」

やっつけるはずが、相手の策にはまり逆にやっつけられてしまう、ということわざです。

「弱い者いじめをしていると、そのうち木菟引きが木菟に引かれることになりますよ」というように使います。

「木菟」は「ずく」と読み、「ミミズク」の意味です。「木菟引き」とは、昼間目の見えないミミズクを他の鳥がつつくこと、またその鳥のことです。

ある鳥が昼間のミミズクをからかいに来たが、ミミズクをおとりにして罠を仕掛けた猟師によって、逆に捕獲されてしまうことに由来しています。

☆「人捕る亀が人に捕られる」

人に害を加えれば自分も人から害を受ける、ということわざです。

人捕る亀が人に捕られるのも道理、あの夫婦はいつか痛い目に遭うだろう」というふうに使います。

人間を捕って食べようとした大亀が、人間に捕まってしまうことに由来しています。

☆「狩人罠にかかる」

人をおとしいれようとして仕掛けた罠に、自分がかかってひどい目に遭う、ということわざです。

「D社内の派閥争いでは、仕掛けた側に勝ち目はない。狩人罠にかかるのも時間の問題だ」というような使い方ができます。

◇その他の表現

「ミイラ取りがミイラになる」と言っても、相手に意味合いが伝わらないかもしれない時には、次のような言葉で言い換えてみると良いでしょう。

いずれも「説得するつもりが、説得されてしまった」という意味合いを持つ言葉です。

☆「抱き込まれる」

例えば、「社内研修で2つに分かれてディベートをしたところ、相手側に抱き込まれてしまいそうになった」という使い方。

「抱き込む」は、うまく味方に引き入れるという意味です。この例では受け身になっているので、反対派から味方に引き入れられてしまったということを指します。

☆「懐柔(かいじゅう)される」

「懐柔」とは、手なずけて抱き込むという意味です。

「彼ほど意志の強い人が、なぜそう簡単に懐柔されたのだろう」というふうな使い方ができます。

☆「籠絡(ろうらく)される」

「籠絡する」とは、上手に言いくるめて操るという意味です。

「甘い話を持ち掛けられて、彼女はすっかり籠絡されたようだ」というような言い回しをします。

ことわざを調べる時は由来とセットで

いかがでしたか?

「ミイラ取りがミイラになる」には、「相手を説得するはずが、逆に相手に説得されてしまう」という意味があることを紹介しました。

「ことわざの意味を調べて、その時は分かったつもりになるのだけれど、すぐに忘れてしまう」ということはありませんか?

なぜそういう意味になったのか、他にはどんな似たような表現があるのか。意味だけでなく、言葉の背景にある由来をひも解くと定着しやすくなります。

知らない言葉に出会ったら、あとひと押し、いえ、あとひと引き、調べてみてはいかがでしょう。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

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