絶滅危惧種の馬「モウコノウマ」のクローンが誕生。40年前に冷凍保存した遺伝子サンプルから現代に蘇る(アメリカ) (3/5ページ)
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・遺伝的に多様だった40年前の遺伝子サンプルから誕生したクローン
クルトくんがモウコノウマにとって大切な存在なのは、この子が一族の遺伝的多様性を豊かにしてくれると期待されているからだ。
40年ほど前、あるオスのモウコノウマの血統を分析したところ、そのゲノムが2頭の野生の祖先から受け継いだものであることが判明した。
つまり、そのオスなら当時生きていた他の個体よりも遺伝的に多様な子孫をもうけることができたということだ。そこで1980年、サンディエゴ動物園の冷凍動物園にその遺伝子のサンプルが保存されることになった。
クルトくんは、このとき保存された遺伝物質から誕生した仔馬だ。そのオスの遺伝物質から作られた胚を代理母のウマ(学名 Equus ferus caballus)に移植して、普通の出産プロセスによって誕生した。
クルトくんと代理母 image by:Scott Stine/Revive & Restore
名前は冷凍動物園の設立者である遺伝学者クルト・ベニルシュケにちなんだものだ。
「仔馬は、この種にとって遺伝的にもっとも重要な個体になるでしょう」と、サンディエゴ動物園グローバルの動物学者ボブ・ウィーゼ氏は述べ、「モウコノウマの未来にとって大切な遺伝的多様性を取り戻してくれればと願っています」と期待をにじませた。