口頭でも贈与は成立する?贈与契約書を交わす重要性を解説!

心に残る家族葬

口頭でも贈与は成立する?贈与契約書を交わす重要性を解説!

前回の友人から、再度相談に乗って欲しい旨の連絡がきた。曰く、実母からの話しだと実父から土地付き一戸建てを贈与すると聞いている。生前贈与か遺贈に該当すると思うが、全く問題ないのだろうかということだった。筆者が友人に贈与契約書の有無について確認すると、贈与契約書は作成していないはずとのこと。と言うよりも、そんな契約書自体初耳であり、作成する必要はあるのかどうかすら疑問だし、民法上では口頭でも贈与可能となっていると書籍で読んだから、これで充分なのではないかという。

■口頭での贈与契約が無効になった例は多い

筆者は友人に対して、民法をもっと良く読めと伝えた。その上で、口頭での贈与契約は確かに有効だが、簡単に解除できる規定が民法にあるし、この規定に準拠して覆された例も多い。故に贈与契約書の作成が重要なのだと答えた。今回は、贈与時の契約書の重要性について触れてみたい。因みに友人と実母には戸籍関係はあり、実父と友人にも同様であるが、実父と実母は内縁関係であるため、実父が亡くなった場合には実母には相続権はない。

■口頭での贈与が成立することは民法549条でも明らかだが

民法第549条には「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」となっている。友人はこの部分のみ読み込んで判断していたのではないかと考える。

民法上贈与は、諾成契約(当事者の申し込みと承諾という意思表示の合致で契約が有効に成立する契約)、不要式契約(契約の成立に格別の形式は必要とされていない契約)とされていて、口頭での意思表示で充分に成立することになる。従って、この部分のみを考えれば友人の主張は正しい。

■しかし民法550条では書面でなければ解除できるともされている

しかしである。民法第550条には「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない」となっている。友人の主張する口頭での意思表示は、条文における書面によらない贈与に該当し、当事者が同意すれば解除できることになる。

友人の場合だと、実父が口頭で現在居住している不動産を贈与すると意思表示し、実母が承諾したとしても実父が亡くなった場合、意思表示を証明する証拠がないため、贈与自体が無効となってしまう可能性が高いのだ。故に、贈与契約書を作成しておけば意思表示の有無について証明できるだけでなく、明確な証拠にもなるので贈与契約書の存在自体が贈与を実行する場合において、非常に有効であることが理解できるのではないだろうか。

■最後に…

友人にとっては痛しかゆしの結論となるものと考える。というのも、550条の条文にある履行の終わった部分については、この限りでないという部分に注目されたい。友人は現在、親とは別居しているのだが、実父と実母は四十年以上に渡り贈与の対象である不動産に居住している。故に、既に贈与を受けているともとれるからだ。そうなると、既に贈与は履行されているので、解除する必要は無いと考えられる。仮に裁判になったとしても勝訴できる可能性が高いのだ。それらを踏まえ、より確実性を増加させるために贈与契約書を作成しておけば完璧だ、当然所有権移転登記も必ず実行すれば問題無しであろう。ただ、そうなると贈与税が発生することになるので注意が必要となる。その旨は友人に伝えておいたのだが、暫く絶句していた。再度筆者が紹介した弁護士と相談すると言っていたのだが、どうなるだろうか。

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