ビートたけしの名言集「ドロップアウトして大学を辞めるまで」 (1/2ページ)
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殿の最新書き下ろし小説「浅草迄」(河出書房新社)が、10月26日発売(予定)になります。殿は4年程前から、とにかく小説を書く作業に夢中で、会えば必ず「今、○○時代の話を書いてんだよ」といった感じで、執筆中の内容をオープンにしてきます。で、最新作は、幼少期から大学入学、そしてドロップアウトして大学を辞めるまでの話を書くと、3カ月程前に宣言していました。ちなみに、殿の大学時代の話といえば、
「毎日、家(足立区島根町)から新宿まで出て、そこから小田急線に乗って、(明治大学)工学部のある生田校舎(神奈川県川崎市多摩区)まで行くのがもう遠くてよ、気が滅入ったよ。だからよく新宿で降りてさぼってたけどな」
と、何度も聞いたことがあります。さらに、殿は途中下車した新宿について、
「とにかく当時の新宿はフーテンとかヒッピーとか、自称映画監督とか、怪しいヤツが集まっててよ。なんとなく新しいことが始まる雰囲気があったんだよ」
とも回想していました。
きっと、距離だけの問題ではなく、大変刺激的な街・新宿を素通りして小田急に乗って大学へ向かうのが、学生時代のヤング北野武君にとって、とてもしんどかったのでしょう。そんな殿が、はっきりとドロップアウトした日の心情を以前、こう語っていました。
「いつものように乗り換えで新宿降りた時、『あっ、俺、大学辞めちまおう!』ってふと思ったんだよ。もうそう決めたら、空の色が違って見えたね」
もし当時、殿の通学コースに、どこよりも刺激的な街・新宿がなかったら、殿は大学を辞めていなかったのでは? ひいては、のちに浅草にたどり着き、芸人になっていなかったのでは? と、勝手な妄想を抱いてしまいます。
で、新宿で“途中下車”してしまった殿ですが、だからといって、あの頃、新宿が中心となって盛り上がっていた“最先端と思われた文化”には染まらなかったそうです。
「映画でも芝居でも、あの頃のスタイルってのは、ドロドロした物を見せつけるんだよ。性とか、普段隠してるやつをよ。それがどうにも苦手で、このセンスは田舎者だと思ったね」
と、とにかく肌に合わなかったそうです。