経営危機から世界的企業へMARVELが成し遂げた大逆転とは? (2/3ページ)

新刊JP

■「誰もコミックを買わなくなった」

ただし、どんなに好調なビジネスであっても、終わりはくる。
1970年代に入るとコミックの人気は凋落。当時勢いがあったカウンタカルチャーに寄った作品を制作したり、往年のヒーローを再登場させるなど、あらゆることを試したが、コミックの売り上げは好転しなかった。この時期にグッドマンは経営から退いている。

「誰もコミックを買わなくなりました。斜陽産業になりつつあると、みんなわかっていました。1980年を迎える頃には、もう会社を飛び出して、食べていける仕事を探すしかありませんでした」(P 59より引用)

これは、当時マーベルで編集者だった人物の回想である。もう、コミックを作れば売れる時代ではなかった。マーベルは唯一絶対の収益源を失ってしまったのである。

■キャラクターを解き放つ 苦境のMARVELが下した一手

苦境を脱するための一手が、コミック制作を通じて所有することになったIP(知的財産)の活用だった。つまり、キャラクターを使ったIPビジネスである。

コミックは売れないが、キャラクターは既に広く認知されている。それならば、玩具メーカーやエンターテインメント関連会社とライセンス契約を結ぶことで、キャラクターをコミックの世界から連れ出して、別の活躍の場所を与えることができるのではないか。

ブロードウェイには「キャプテン・アメリカ」の舞台を提案し、「スパイダーマン」はテレビシリーズ化された。ただ、マーベルが目指した本丸は、あくまでハリウッドだったようだ。

今でこそ、コミックやアニメのスーパーヒーローものが実写映画化されるのは珍しくないが、1980年前後はまだ前例がなく、映画会社を説得するのは困難を極めた。マーベルのコンテンツは10代や大学生、あるいはもっと年長の層向けに作られていたが、映画関係者は判で押したように「6歳の子ども向け」のコンテンツを求めた。そして、当時は超人的なヒーローを実写映画化する映像技術がなかった。

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