竹内結子さんが語っていた「死生観」と“役にのめり込む”演技の凄み

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竹内結子さんが語っていた「死生観」と“役にのめり込む”演技の凄み

 9月26日、40歳という早すぎる死を迎えた女優・竹内結子さん。10月1日に発売された「女性セブン」10月15日号が、彼女の複雑な生い立ち、家庭環境について報じている。

「私、ちょっと複雑な家庭なんで戻る場所なんてないんです。だから、この世界で絶対に頑張らなきゃいけない」──デビュー当初、そのように語っていた竹内さん。

 記事によると三人姉妹の三女として生まれた竹内さんは家族の愛を一身に受けて育てられたが、父親の教育方針は厳しいもので、時には“鉄拳制裁”もあったという。竹内さんにとって、心の支えとなったのは母方の祖母で、彼女は竹内さんをとても可愛がっていたようだ。

 しかし、竹内さんが中学生の頃に母親はがんを患い、彼女が14歳の時に亡くなった。母親の死の翌年、竹内さんはスカウトされ芸能界入り。そんな中、父は再婚したが、再婚相手には男の子3人の連れ子があり、竹内家は6人きょうだいとなった。家族環境の急激な変化が多感な思春期の頃の竹内さんに大きな影響を与えたことは想像に難くない。

「竹内さんはある小説の解説を依頼され、その中で自分の継母を“父が必要とした女の人”、自分のことを“荷物”と表現しています。その当時の竹内さんが孤独感や疎外感を感じていたことを伺わせるものです」(芸能ライター)

 芸能界デビューした竹内さんは順風満帆。押しも押されもせぬトップ女優の座へと駆け上った。多くの人を惹きつけた彼女の女優としての魅力とは一体何なのか。

 「女性セブン」の記事は、今年7月18日に亡くなった俳優・三浦春馬さんと、映画「コンフィデンスマンJP」シリーズで共演した竹内さんには、役者としての共通点があると解説している。いわく「三浦さんは、自分の人生を生きるよりも、役として生きることに尽力」しており、「竹内さんも役柄を通して生きる役者さんで、2人とも現実と役柄の境界線が曖昧になるほどのめり込むタイプ」というテレビ局関係者のコメントを掲載している。

「竹内さんの出演ドラマに、『イノセント・デイズ』(WOWOW)という作品があります。地上波ドラマではないので、あまり触れられることはなかったのですが、私は竹内さんがこのドラマで演じた死刑囚・田中幸乃という役に思いを馳せてしまうのです」(テレビ誌ライター)

 幼い頃に母親を亡くし、祖母に育てられた主人公の幸乃は大人に成長すると、破局した元恋人にストーカー行為をくり返し、元恋人が住んでいたアパートの部屋に放火。妻子を殺した疑いで逮捕され、死刑判決を受ける。幸乃の幼馴染みたちは幸乃の無実を信じて奔走するが、生きることへの希望を失った幸乃は“死”を受け入れてしまう──。

 WOWOWの公式HPで竹内さんはドラマ出演に際し、「幸乃という女性の生き方や人間性に興味を持ちました」と明かし、「誰かに必要とされたいという気持ちがとても強い女性」と幸乃について語っている。

 竹内さんは続けて「自身の死刑が確定した後の幸乃は、まるでようやく荷物を下ろせる場所をみつけられた安堵感のような気持ちでいて。真実を明らかにすることが彼女の願いではなく、全てを語らずまるごと抱えて命を終えることが使命のように感じている。早くその日を迎えることを待ち望んでいるような、そんな気持ちが見えた時悲しくなりました」と死に臨んだ幸乃の心情についてコメントしている。

「竹内さんが亡くなった今、このコメントを読むと切なくなってしまいます。竹内さんは幸乃の役柄と、自身の生い立ちや家族環境を重ね合わせながら演じていたのかも知れません」(前出・テレビ誌ライター)

「女性セブン」の記事では、映画「僕と妻の1778の物語」出演時に雑誌のインタビューで語られた、竹内さんの“死生観”にも触れている。

 同作品は、余命宣告を受けた妻と作家の実話をもとにした物語だが、“もし自分が役柄と同じく死に直面するとしたら?”について竹内さんは「最終的には、ひとつのことしか出来ないような気がします。それが何なのかは、人によって違うでしょうけど」と語っている。

 死の前夜も、普段通りに家族と食卓を共にしていたという竹内さんにとって、“ひとつのこと”とは、「自分が築き上げた家庭、愛する家族そのもの」であったのだろうか。

 才能に溢れた女優を失ってしまったことが、つくづく残念でならない。

(石見剣)

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