疫病根絶のため、自らの腕を数千匹の蚊に捧げた科学者(※蚊大量注意) (2/4ページ)
ことデング熱に関しては、体内にボルバキアを宿した蚊はなぜかウイルスを感染させなくなる。それでいてボルバキア自体は人体に無害なので、蚊にこれを感染させれば、デング熱の拡散を防ぐことができるのだ。

ボルバキア image by:WIKI commons
・ボルバキアに感染した蚊を作るため、自らの腕を捧げる科学者
問題は、放っておくだけでは簡単にネッタイシマカにボルバキアが感染してくれない点だ。そこで、人間が顕微鏡を覗きながら手作業でボルバキアに感染した蚊を探し、それを抽出して別の蚊に感染させなければならない。
「プレパラートに蚊の卵を並べて、極微操作装置の細い針で卵を刺します。ボルバキア入りの細胞を吸い出して、それを別の卵に注入し、運よくそれが生き残れば、次の世代にボルバキアを伝えてくれます」と、ロス博士は説明する。
とにかく地道な作業で、ボルバキアに感染したメスを1匹見つけるためには、200~1万個の卵に針を刺さねばならないという。時間にすれば、フルタイムで作業して6か月かかるのだとか。
こうして無事にボルバキアに感染した蚊の一族を手に入れたら、今度はそれを繁殖させなければならない。
ボルバキア入りの蚊が野生の蚊と着実に交尾してくれるようにするためには、3~10軒の家に1匹は必要になる計算だ。
ある地域でデング熱を予防しようと思えばとんでもない数の蚊を育てねばならないことは、すぐに察しがつくだろう。
ロス博士はそのために己の腕を蚊に捧げているのだ。