香取慎吾、ネット配信から地上波ドラマへ“完全復活”した稀有な才能

日刊大衆

香取慎吾
香取慎吾

 Amazon primevideo『誰かが、見ている』の配信が、2020年9月18日に開始された。新しい地図香取慎吾(43)が主演し、監督・脚本が三谷幸喜(59)とくれば面白くないはずがない、と心躍らせAmazonに飛んだ。

 ただ、1話、2話は正直、とまどった。香取自身が「やりすぎようと思っていた」と明かしている通り、アクの強い個性とオーバーアクションの笑いに目がオロオロし、時が過ぎた。香取演じる舎人真一を覗き見る隣人が、のぞき穴から彼の生活を盗撮し、そのまま配信してしまうという設定もギョッとした。

 が、「これはドラマだから!」と思い直し、やめずに最後まで見てよかった(ママ役の長野里美〈59〉のナチュラルなかわいさに救われた)。思い出してみれば、三谷の作品には、最初の「オロオロ」はつきもの。映画の『ラジオの時間』も『有頂天ホテル』も、濃ゆい登場人物の濃ゆい日常のやりとりが続き「これがいつどんな風に展開するの?」とオロオロしたものだ。

 が、キャラクターたちがどんどん増え、ワチャワチャと騒ぎが起き、最後、その個性が幸せにつながってオオッ、となる。最初の感想と最後まで見た感想が、本当に違うのだ。

 今回の『誰かが、見ている』も回を追うごとに、とまどいより幸福感の割合がジワジワと増えていく。隣人役の佐藤二朗(51)、稲垣吾郎(46)などの温かな笑顔に誘われ、全員が舎人を「この人、大丈夫かな」と心配して見ているうちに、その舎人にホッと救われる。そんな感覚になるドラマであった。

■三谷幸喜の香取慎吾に寄せる信頼

 しかしなんとこの作品、ほぼノーカットの一発撮りで、客入れをした状態で撮影されたというから、キャストの面々の緊張たるや、想像を絶する。

 三谷幸喜は、この撮影法(シットコム)を02年に放送された『HR』(フジテレビ系)でも取り入れている。こちらもやはり主演は香取。毎回約30分間、7台のカメラを使ってほぼノンストップで撮影! あまりの緊張に「二度と出たくない」と悲鳴を上げた俳優が続出だったそうだが、三谷はまたそれに挑戦し、しかも18年前と同じく香取に白羽の矢を立てたのだ。彼に対する絶大な信頼が感じられる。

 私の中で香取慎吾のイメージがガラリと変わったのは、2000年放送、三谷幸喜脚本、役所広司(64)主演のドラマ『合言葉は勇気』(フジテレビ系)だった。それまで特殊なキャラクターを演じることが多かった香取が、役所に振り回される村役場の職員を演じ、「こんなに自然で気持ちがいい演技をするんだな」と思った。ああ、もう一度見たくなってしまった!

 これからどんどん配信ドラマや地上波で彼の演技を見たいな、と思っていたら、2021年1月に『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』(テレビ東京系)主演のニュースが飛び込んできた。やった! 香取慎吾の新しい地図に、彩り豊かな世界がどんどん追加されていきそうだ。(田中稲)

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