ウガンダに「手洗い」を根づかせた日本企業 (2/2ページ)
CSR(企業の社会的責任)の活動が盛んな企業として、サラヤの存在感を示すために、どうすればいいのか?
その答えは、はじめて視察で訪れたウガンダで見つかった。地方に行くと水へのアクセスが悪く、手を洗う習慣が根付かないため、感染症が発生するとすぐに拡がってしまう。もちろん、その状況の改善に手洗いの啓発活動は必要だが、肝心の医療機関でさえ、アルコール消毒剤が満足に手に入らないなど、物資不足も目立った。
しかし、これはただこの地にアルコール消毒剤を寄付すれば解決する問題ではない。与えられたものは、使い切ってしまえばそれでおしまいだからである。ならば、この地でアルコール消毒剤を生産できないか?ウガンダを訪れたサラヤの視察メンバーたちにこんな考えが浮かんだのは自然な流れだった。
とはいえ、これは口で言うほど簡単な問題ではない。ウガンダにサラヤの現地法人を作るにしても、アフリカでの事業立ち上げを誰に任せればいいのか、従業員の確保はどうするのか。肝心のアルコール消毒剤にしても、原材料を日本から送っていたのでは意味がない。現地で調達できるもののなかから、消毒剤の生産に使えるものを探し出さなければいけないし、それを供給してくれる企業との交渉も必要だ。そして、そもそも手洗いの習慣が十分に根づいていないこの地で、アルコール消毒剤を売ることがはたしてビジネスとして成立するのか?
案の定、サラヤのウガンダでのプロジェクトは難航する。現地での法人登記の手続きからスムーズにはいかず、採用した従業員ののんびりとした気質にはやきもきしっぱなし。さらにはエボラ出血熱騒ぎ、そしてやっとアルコール消毒剤の現地生産したはいいがなかなか採算に乗らない…。
「ビジネスを通じた社会貢献」と言えば聞こえはいいが、途上国での社会貢献ビジネスはきれいごとだけでは決して達成できない。次々と立ちはだかる難局に、アフリカで事業をすることの厳しさを嫌というほど味わっていたサラヤのメンバーたちだったが、目的へのあくなき情熱は、やがて事態を動かしていく。
途上国支援というと、公的機関を通した寄付やチャリティが目立つが、寄付やチャリティには継続性の点で限界がある。持続的な支援をしていくためには、やはりビジネスを通して現地に貢献する民間企業の力が欠かせない。
本書は、途上国支援をめぐる現実について、本当に現地の人々のためになる支援について、そして社会貢献ビジネスの意義とその困難さについての、多くの人が知らない貴重な証言である。
(新刊JP編集部)