遺物の呪い。ポンペイ遺跡から盗んだ出土品を返還した女性、15年間呪いに苦しむ

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遺物の呪い。ポンペイ遺跡から盗んだ出土品を返還した女性、15年間呪いに苦しむ
遺物の呪い。ポンペイ遺跡から盗んだ出土品を返還した女性、15年間呪いに苦しむ

15年間呪いに苦しんだ女性が遺物を返還/iStock

 79年のヴェスヴィオ火山の大噴火の影響で壊滅的被害を受けた、イタリア・ナポリ近郊にあった古代都市「ポンペイ」。

 その歴史的遺跡を15年前に訪れたカナダ人女性は、あろうことか遺物である出土品を持ち帰っていた。ところが、それからというもの女性の身に相次ぐ不幸降りかかってきたのだという。

 そこで女性は、現地の旅行会社宛てに謝罪の手紙と共に盗んだ遺物を返還した。手紙には、遺物による呪いが長年女性を苦しめていたことが切々と綴られていたそうだ。『The Guardian』などが伝えている。


・多くの住人の命が埋もれているポンペイの遺跡

 紀元79年、ヴェスヴィオ山の大噴火の火砕流と噴出物により、わずか19時間で完全に地中に埋まった古代都市、ポンペイは、1748年に本格的な発掘がスタートするまで、実に1700年という長い間、その存在が地中深くに眠っていた。

 その後の発掘調査で、多くの人が地面に埋もれ命を失ったことが明らかとなった。同時に当時の暮らしがわかる様々な出土品も掘り起こされ、それらは知られざる過去の歴史を紐解く魅力的な遺物となっており、この地を訪れる観光客も多い。

ポンペイ遺跡
DUOTONE_/pixabay

・遺物を盗み持ち帰った女性、15年間「呪い」に苦しんだと主張

 カナダに住むニコールと名乗るその女性は、15年前にポンペイを観光で訪れた。

 当時、20代前半だった彼女は、ポンペイの考古学公園で貴重な古代遺跡の出土品数点を盗み、持ち帰った。

 しかし、そこから彼女に様々な禍が降りかかる。次から次へと不幸な出来事を経験し、それらが盗んだ遺物の「呪い」であると信じるようになった。

 そこで、ニコールは自身の罪を償うため、遺物を返却することに決めた。告白の手紙と一緒に送付されてきた遺物は、アンフォラの一部と2つのモザイクタイル、陶器の一部で、一部を友人にあげてしまったと言うタイルの一部を除く全ての盗品を返却した。

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image credit:ilmessaggero

 手紙には、次のように記されてあった。

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これらの遺物を盗んだ当時、誰も持つことができない歴史の一部を自分が持っているという思いに浸りたかった理由で、盗んで持ち帰ってしまいました。

果たして、これらの遺物は破壊された土地に関連した非常に多くの負のエネルギーを持っていました。

現在、私は36歳ですが、この15年の間で2回乳がんを患いました。2度にわたり乳房切除術も受けました。家族は私と共に経済的困窮に陥り、何年も苦しい生活を送ってきました。

その一連の不幸は、私が盗んだこの遺物の呪いだと思っています。どうか、これらの遺物を元の場所へ戻してください。とても不運をもたらすものです。

私は、この呪いを家族や子供たちには伝えたくありません。自分が犯した罪を償いたいです。今は、神の赦しを望んでいます。私がしてしまった悪い行為を、どうか赦してください。
image credit:ilmessaggero

・ポンペイ遺物を盗み去り、返還する観光客は多い

 実は、ポンペイから遺物を盗み去っていたのはこの女性だけではない。近年、遺物を現地から盗み去る観光客が絶えず、遺跡管理当局は頭を悩ませているという。

 これまでに100件ほど、貴重な遺物が盗まれては、謝罪の手紙と共に返還されるケースが多発しているそうだ。

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rosemaria/pixabay

 今回、ニコール以外にカナダに住むカップルからも同じような荷物が届いたそうだ。

 そのカップルも、2005年にポンペイを訪れ、遺物を数点持ち帰ったが、ニコール同様、謝罪の手紙と一緒に返還されたという。

私たちは、ヴェスヴィオ火山の噴火で恐ろしい死の苦しみや痛みを経験した人々のことを考えずに、この遺物を盗んでしまいました。

本当に申し訳ありませんでした。どうかお赦し下さい。彼らの魂が安らかに眠ることを祈っています。


・罪の意識が呪いを呼ぶ?

 考古学公園のスポークスマンは、ほとんどの場合において、観光客は遺物を「お土産」として手元に保管したいために勝手に持ち去るが、中にはオンラインで販売する悪質な者もいると話している。

2015年には、大手通販サイトのeBayで1958年に遺跡から発掘された出土品のレンガが売りに出されていたことが発見されました。

 現在、「不運をもたらした」「呪い」と主張して謝罪と一緒に返還された遺物は100件ほどになり、ポンペイ考古学博物館ではそれらを展示するコーナーが設けられているということだ。
 
 罪の意識にさいなまれた結果、不幸が降りかかると思い込んでしまったのか、それとも本当に呪いがあるのかはわからない。だが、遺物を持ち帰って災いがもたらされたケースは多いようだ。

written by Scarlet / edited by parumo
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