京都に残る旧色街「五条楽園」。ディープな遊郭・お茶屋の街からレトロで個性あふれる街へ【その1】

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京都に残る旧色街「五条楽園」。ディープな遊郭・お茶屋の街からレトロで個性あふれる街へ【その1】

世界有数の観光地として知られる京都……1200年間の歴史を育んできた都だけに、実に奥深いものをその懐に抱いています。

中には、「足を踏み入れたり、近寄ったりしてはいけない」など、一般の観光客にはわからないタブーなエリアもありました。

かつて、そんな場所の一つであったのが「五条楽園」。下京区河原町五条の南東にある旧遊郭、いわゆる「赤線」と呼ばれる地域でした。

現在では、昔のお茶屋や置屋などレトロな建築物が残るインスタ映えする観光スポットとして人気があります。「ディープな遊郭街から観光スポットへ」……そんな五条楽園をご紹介しましょう。

京都で最後まで残っていた色街・五条楽園

 花街に必要な要素である歌舞練場。五条楽園にも築100年の五条會舘が残る。(写真:TERUAKI.T)

京都といえば、芸妓や舞妓が芸を披露してお客さんをもてなす花街(祇園・宮川町・先斗町・上七軒・島原)が有名です。

その一方、女性(娼妓)が春をひさぐ遊郭がある色街も数多く存在していました。(祇園東や宮川町、島原などは花街と色街が混然としていたようですが、後には花街としての要素が強くなります)

遊郭街であった五条楽園は、花街とは対照的に、色街として夜な夜な怪しいキラメキを放っていたのです。

売春防止法をくぐり抜け性風俗を扱う街として存続するも……

そして、1958年に施行の売春防止法をくぐり抜けるように、お茶屋や置き屋、歌舞練場、カフェー(バー・スタンド)など、うわべは花街としての体裁を取りながら、性風俗を扱う街として存在してきました。

しかし、色街としての五条楽園にも終焉の時が……。2010年10月と11月の2回にわたり京都府警による取り締まりが行われ、お茶屋と置屋の統括責任者、経営者らが、売春防止法違反容疑で逮捕されたのです。

 在りし日の五条楽園。今は亡き「五条楽園」の丸看板の向こうにリニュアル前のサウナの梅湯が見える(写真:TERUAKI.T)

「以前は遊郭だったんですよ」に、驚く若い世代も

 高瀬川越しに見る「本家 三友」五条楽園に現存する最大級の置き屋(写真:TERUAKI.T)

いま、五条楽園は雑誌やSNSなどのメディアで注目されています。そのほとんどが、元花街の風情と貴重な建築物を残す、懐かしくもお洒落な街……というイメージです。

でも、それだけでは京都のディープな文化を語り継ぐことはできません。先日も五条楽園の変貌が気がかりになり、立ち寄った際、高瀬川沿いに残る旧置き屋「本家 三友」の前でこんなことがありました。

自転車に小さな子供を乗せた20代とおぼしき若い夫婦が、その置き屋をしげしげと眺めていたのです。

 遊郭の面影が残る京町家(写真:TERUAKI.T)

写真を撮っている私に「このあたり、えらい風情がありますけれど、いったい何だったんですか」と尋ねてきました。

「この界隈一帯は遊郭だったんですよ」と答えると、驚いたように「京都で生まれて30年近くになるけど、全然知らなかった」としきりに感心していました。

いまや日々、街は変貌していきます。その街の歴史や風俗の痕跡が急ピッチで消えていくといってもよいでしょう。それは、古都京都においても決して例外ではありません。

次回は、そんな五条楽園の闇の部分へご案内しましょう。

第2回に続く……。

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