紅葉に染まる山の「鬼伝説」。妖しく恐ろしくも美しい鬼女・その名は紅葉(もみじ)【前編】

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紅葉に染まる山の「鬼伝説」。妖しく恐ろしくも美しい鬼女・その名は紅葉(もみじ)【前編】

2020年、空前のブームとなったアニメ「鬼滅の刃」の影響で、この現代社会にて一躍脚光を浴びることになった「鬼」

一般的には、恐ろしく巨大な姿のイメージがある鬼ですが、地域によっては、妖しく美しい姿の鬼女伝説もあるのです。

山々が美しい紅や黄色に染め上げられていく紅葉の季節にぴったりな、信濃の国に300年以上も伝わる鬼女・紅葉(もみじ)の伝説をご紹介しましょう。

信州戸隠に伝わる美しい鬼女伝説

 鏡池畔から望む戸隠山(写真:wikipedia)

長野県の、戸隠・鬼無里・別所温泉などの地域に伝わる、鬼女の言い伝え「紅葉伝説」

諸説あるのですが、大筋は「信州の戸隠山には鬼女がいて、夜な夜な村を襲い人々が困り果てていたところ、平安時代中期の武将・平維茂(たいらのこれもち)が、苦労をしつつも最後には見事退治をした」というお話。

時の武将も一目で惑わされた……というほどの美貌の鬼女

その名前は「紅葉(もみじ)」といいます。能や歌舞伎では「紅葉狩り」という演目でもおなじみです。

 平維茂と悪鬼/歌川国芳(写真:wikipedia)

信州に伝わる美しい鬼女の伝説

仏法を滅ぼすため釈迦と仏弟子へと来襲する第六天魔王(写真:wikipedia) 

諸説あるうちの一つで、ポピュラーな「鬼女・紅葉伝説」は、このようなお話です。

【魔王に子どもが欲しいと願った夫婦】

今は昔、平安時代の頃。

子どもができない夫婦が、第六天の魔王(仏教において修行を妨げる魔王)に願いを捧げ、女児を授かる。

「呉葉(くれは)」と名付けられた女の子は、成長するにつけ、その美貌と知性の高さで広く知られるようになった。

そんな呉葉の評判を聞き、ぜひに嫁に欲しいと、金持ちの息子が望むものの、縁談に乗り気ではない呉葉は、秘術により分身の美女を生み出し自分の身代わりとして、両親と共に京の都へと逃走する。

【美貌で源経基の寵愛を受けた紅葉】

 紅葉の美貌と奏でる琴の音色に惚れた源経基

京で両親は小間物屋を営み、呉葉は「紅葉」と名を変え、琴を教えることで生計を立てる。

ある日、通りがかりに紅葉の奏でる琴の音色に惹かれた源経基

琴の腕前と抜きん出た美貌を持つ紅葉に惹かれ屋敷に呼び寄せる。日々、寵愛を受けた紅葉は経基の子を妊娠。

それと同時に、経基の奥方は体調が悪くなり、「夜中に『鬼』が襲ってくる」……と訴えるようになる。

【奥方の病は紅葉の呪詛のせい】

 「嫉妬や恨みの篭る女の顔」鬼女の能面(写真:wikipedia)

困った経基は、比叡山の高僧に相談したところ、奥方の病は紅葉の呪詛であることが発覚。

源経基は、妊娠中の紅葉を殺すことはできず、信州戸隠に追放した。

そして、追放された紅葉は、鬼女と化していきます……【後編に続く】

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