「ドラマとは違う」現役医師が語る外科の現場 (2/3ページ)
外科手術は一人ではできないので、周りの人とのコミュニケーションは大事なのですが、先輩医師とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、経験不足がゆえに委縮してしまったりして、孤独な感じになってしまうのが一番つらいところでした。この本ではそういう感情をうまく表現したかったんです。
――外科医の仕事の現場がよくわかる作品でもありました。
月村:ドラマなどでも医療を題材にしたものがありますが、医師という仕事の華やかな面ばかりが描かれていたり、色々な困難があっても最後はうまくいって患者に感謝されて、みたいな筋書ばかりなんですよね。現場で働いている身としては、それはちょっと生ぬるいなという感想を持っていました。
――きっと、実際はドラマのように“ハッピーエンド”ばかりではないでしょうね。
月村:精一杯やっても患者から訴えられるようなこともありますし、先輩にいじめられて辞める若手医師もいます。なかなか報われない仕事だと思いますね。
僕は医師になって3年目で、やっと少し慣れてきたといいますか、周りが見えるようになってきたところなのですが、別の仕事をしている同世代の友達に、転職しようか悩んでいる人が結構いるんです。そういう人と会うと「医者はいいよな」と言われるのですが、きついこともつらいこともあって、辞めようかどうか日々葛藤するのは医者も同じなので、今回の本が同世代の仕事に悩んでいる人への励ましになればいいなと思います。
――主人公の山川悠は「手術が好き」という一心で外科医の道を選びましたが、外科医の仕事は手術だけではなく、思っていたものとのギャップが生じます。月村さんは医師になった時に思っていた仕事と違ったということはありましたか?
月村:僕の場合は山川とはちがって、手術をやりたいという気持ちだけで医師になったのではなくて、根本的には患者さんを助けたいという思いを持って医師になりました。
ただ、「患者さんを助けたい」って漠然とした「大きな目標」です。働いていると、なかなかそういうところまで意識が向かないというのはありました。