「ドラマとは違う」現役医師が語る外科の現場 (3/3ページ)
「患者さんを助ける」というよりは、「どうやってこの手術を成功させようか」とか、外来なら「たくさん来る患者さんをどうやってさばいていくか」という、目の前のことを考えるのに精いっぱいになってしまいます。
――手術についての描写も興味深かったです。経験を重ねてもなかなか思った通りに上達しないこともある、というのは他の仕事にも共通するところがありますね。
月村:そうですね。外科医にとって一番大事なのが手術ですから、日々上手になりたいと考えるものなのですが、一進一退です。明らかな失敗というのはほとんどないのですが、前にやった手術を次はもっとうまくできるかというと、必ずしもそうではないですし、なかなか階段を昇るようにはいきません。
だから、手術だけがモチベーションで仕事をやっていると辛くなることがあると思います。そういう時に、自分はどうして医者になったのか、とか手術がうまくなった先に何があるのかという「大きな目標」が心の支えになるのかもしれません。
――手術には「その日の調子」みたいなものもあるんですか?
月村:それもありますし、患者さんごとに血管の走り方が違ったりしますから、同じ手術でも同じようにできるわけではないんです。
――素人としては手術のうまい人と下手な人はどこが違うのかという疑問があります。
月村:単純な手先の器用さもありますし、あとは先輩医師を見ていると、手術前にどれだけイメージトレーニングをしているかというところも大きい気がしています。
僕も最近できる限りやるようにしているのですが、やればやるほど、手術の流れはもちろんタイムスケジュールまで具体的に思い描けるようになってくるんです。これを始めてから、自分の中では手術が少しはうまくなってきたかなという気はしています。去年までは「行き当たりばったり」という感じだったので…。
(後編につづく)