珍獣カモノハシに新たなる奇妙な特徴を発見。体が蛍光色に光ることが判明(米研究)

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珍獣カモノハシに新たなる奇妙な特徴を発見。体が蛍光色に光ることが判明(米研究)
珍獣カモノハシに新たなる奇妙な特徴を発見。体が蛍光色に光ることが判明(米研究)

カモノハシの新たなる特殊能力は「光る」image by:istock

 オーストラリアに生息する「カモノハシ(学名 Ornithorhynchus anatinus)」は、哺乳類でありながら卵を産み、口には歯がないかわりに電気を感じるクチバシがあり、手足の水かきで泳ぎ回り、オスには毒爪まであるという珍獣だ。

 あまりにも独自路線の進化を遂げたために、カモノハシ単独でカモノハシ科カモノハシ属を構成する。

 そんな彼らには更に奇妙な特徴を持っていることが明らかになったそうだ。紫外線(UV)で照らすと、毛皮が青緑の蛍光色に光り輝くというのだ。
・哺乳類では珍しい生物蛍光を持つカモノハシ

 生物が光を生成し放射する現象は「生物蛍光(biofluorescence)」と呼ばれており、化学的エネルギーを光エネルギーに変換する化学反応の結果として発生する。光を照射されると、短い波長の光が吸収され、より長い波長の光が再放射されることで輝くのだ。

 自然界を見渡せば、それほど珍しい現象ではなく、魚、は虫類、両生類、鳥などさまざまな種で確認されている。

 だが哺乳類で蛍光することが知られている種は珍しく、アメリカモモンガや有袋類のオポッサムの仲間でしか確認されていない。

 この仲間に今回カモノハシがくわわることになった。アメリカ・ノースランド大学の研究グループがカモノハシの剥製を紫外線ライトで照らしてみたところ、被毛が緑や青の蛍光色で光ることが確認されたのだ。

カモノハシは光る
カモノハシの生物発光 image by:Anich et al.,Mammalia 2020

 剥製は、フィールド自然史博物館が所蔵するタスマニアで捕獲されたカモノハシのもので、オスとメスのどちらも蛍光を放ったという。さらにニューサウスウェールズ州のカモノハシでも同様のことが確認されたそうだ。

 こうした特徴が「単孔類」で確認されたのは初めてであるとのことだ。

カモノハシの生物発光
カモノハシの生物発光 image by:Anich et al.,Mammalia2020

・哺乳類における生物発光

 哺乳類で最初に生物発光が確認された動物は、北米では唯一の有袋類キタオポッサムで、1983年のこと。だが、次の事例が見つかるのは2017年になってからで、かなり間が空いている。

 それはアメリカモモンガ属の仲間で、夜間に地衣類の調査が行われていた際、やはり偶然発見された。

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紫外線でピンク色に光るモモンガ image by:Northland College


 ちなみに博物館にあるカモノハシの標本で生物発光が確認されたのは今回が初めてだが、今年6月には車に轢かれたカモノハシの死体が同じように光ることを確認したという報告もある。

 それによると、カモノハシだけでなく、路上にいたノーザン・ブラウン・バンディクート(Northern brown bandicoot)の毛皮もまたピンク色に光ったそうだ。

 オポッサムとモモンガの数少ない共通点は夜行性であるという点だ。夜は生物発光がもっとも強く輝く時間帯でもあり、じつは夜行性の哺乳類では一般的な特徴である可能性もある。

 オーストラリアに生息するカモノハシもやはり夜間に活発に行動するのだが、オポッサムやモモンガとは1億5000万年も独自の進化を歩んできた動物だ。

 このことは、生物発光が予想以上に古く、したがって動物界では一般的な特徴である可能性を匂わせる。


・なぜカモノハシは蛍光色に光るのか?

 夜行性の哺乳類が蛍光を放つメリットはまだはっきりしない。

 あくまで仮説であるが、1つにはカモフラージュとしての役割があると考えられるという。アメリカモモンガが生息する森の木々は、生物発光するコケや地衣類におおわれていることが多いので、それと同じように光れば身を隠すことができる。

 一方、地上で生きる動物の場合、かえって目立ってしまう恐れもある。しかし、これもまた状況によっては利点となる。たとえば鳥には生物発光する羽をディスプレイすることで異性を惹きつける種がいるし、魚にはそれで仲間とコミュニケーションする種がいる。

 カモノハシの場合、オスもメスも光ることから、生殖に関連するものではなさそうだ。さらに目を閉じて泳ぐ習性があるために、仲間とのコミュニケーションという線も薄い。

 こうしたことから、カモノハシのそれはカモフラージュなのではないかと推測されている。紫外線を吸収することで、紫外線に敏感な夜行性の捕食者や獲物に気づかれにくくするのだ。

 いずれにせよ、これは推測であって、確かなことは分からない。今の段階で言えるのは、珍獣カモノハシがさらに奇妙な存在であることが分かったということだ。

 この研究は、『Mammalia』(10月15日付)に掲載された。

References:sciencealert/ written by hiroching / edited by parumo
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