期待作『危険なビーナス』失速させた妻夫木聡の妄想シーンと2つの問題点 (2/2ページ)

日刊大衆

百合華が“明人の妻”を名乗る謎の美女、矢神楓(吉高由里子/32)を突き落とした犯人だと明かし、伯朗を刺してしまうという妄想だった。

 これだけなら、いつもの妄想だと受け入れることができたのだが、問題なのは、前回ラストに放送された予告編でも伯朗が刺されたシーンが流れ、百合華が事件の重要人物であることを匂わせたことだ。その結果、次週の放送までの1週間、事件の考察を楽しんでいた視聴者を落胆させた。

 さらに、第4話の予告編では明人が椅子に縛られたシーンがあり、失踪の謎が明かされ、物語が大きく動くことを予感させた。しかし、これまた伯朗の妄想シーンで、祥子の夫である隆司(田口浩正/53)の後をつけて不倫現場を目撃する前に、伯朗が妄想したものだったのだ。

 これに対し、ツイッター上では、妄想シーンを好意的に受け取る声もあったが、多くは「妄想を次回予告に折り込んだのはがっかりです。以降の予告がすべて嘘に見える」「せっかく良い役者揃ってるのにサスペンス色が色あせてしまう。力入れるところを間違えている」などと、批判的な声を寄せていた。

■吉高由里子はミスキャスト?

 また、次に考えられる失速理由として、「登場人物の設定っていうの? 古いよねぇ~って思った」「まるで金田一耕助シリーズ的な昭和のミステリー設定。なのに、殺人事件が起きないのでミステリーとして物足りない」などと、ドラマ設定が古くさく中途半端だという声も。

 さらに、“危険なビーナス”を演じている吉高について「吉高由里子に少しイラつくなぁ。違う女優だったら、もっと怪しい感じになったんじゃないかな」「あの役が吉高由里子で良いのか原作で確かめたい。今のところなんか違うと思うけど」などと、物足りないという不満の声もあった。

 第3話、4話で判明したのは、隆司と祥子の夫婦がそれぞれ不倫していたぐらいで、明人の失踪問題や遺産相続をめぐる争いはほとんど進展していない。4話の後半、矢神家の養女である佐代(麻生祐未/57)が不倫騒動について、「とんだ茶番を見せられたわね」とあきれたようにボヤていたが、ドラマ自体も、上質なミステリーを期待する視聴者を裏切る“茶番劇”にならないよう願いたい。(ドラマライター/ヤマカワ)

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