身長と遺伝の関係。背の高さを決める遺伝子の配列がついに特定される(国際研究)
背の高さを決める遺伝子の配列が特定される/iStock
身長が親の遺伝であることは一般的にも常識になっているが、そうした遺伝を深く研究する者たちにとっては納得いかない大きな謎があった。これまでの研究だと、遺伝子と身長の関係性がほとんど証明されなかったのだ。
しかし少なくともヨーロッパ人の祖先を持つ人に関しては、そのミステリーが解明されたようだ。新たなる研究で、背の高さを決める遺伝子の配列が特定されたようだ。
・双子の研究における遺伝子解析の結果の謎
身長と遺伝の謎が研究者に知られるようになったのは2000年代後半のことだ。
当時、体の特徴や病気などに共通する「遺伝子マーカー」(系統や個体などを識別できる遺伝子の並び)を探すべく、ヒトゲノムの解析が盛んに行われていた。
ある人の背の高さは、親から受け継いだDNAの影響が大きい。過去に行われた一卵性双生児と二卵性双生児の研究からは、食事や子供の頃の感染症といった環境要因よりも、遺伝子の影響のほうが圧倒的に大きく、身長の8割は遺伝的なものであるということが示唆されていた。
そのために、当時行われていた「ゲノムワイド関連解析」の結果は、そうした知見に一致したものになるだろうと予測されていた。
ところが発見された40個の遺伝子マーカーでは、どういうわけだか身長の差異を5%しか説明できなかったのだ。

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・身長の差異を説明できる遺伝子マーカーを発見
なぜ遺伝子解析の結果と双子の研究の知見が一致しないのか?
その理由としては、ゲノムワイド関連解析では抜け落ちてしまう珍しい突然変異遺伝子の影響という説、遺伝子同士の相互作用が原因であるとする説、そもそも過去の双子の研究自体が間違っているのだといった説などが提唱されていた。
だがオーストラリア・クイーンズランド大学のピーター・ヴィッセル氏らはまた別の仮説を唱えていた。
それぞれはごく小さな影響しかないが、数だけならもっと普通にある一般的な突然変異遺伝子が原因なのではないかというのだ。
同氏が試算にしたところ、一般的な突然変異は身長の差異の40~50%を説明できると考えられたという。
そしてその後、ヴィッセル氏も参加するGIANTという国際コンソーシアムの研究によって、70万人分の遺伝子データから身長の差異の25%を説明できる3300の一般的な遺伝子マーカーが発見された。
・身長の差異をほぼ説明することに成功
そして今回、10月27~30日に開催されたアメリカ人類遺伝子学会での発表によれば、201のゲノムワイド関連解析で収集された410万人分の遺伝子データから、さらに40%を説明できる9900の一般的な遺伝子マーカーが見つかったとのこと。
また、それらと一緒に遺伝する付近の遺伝子マーカーはさらに10%を説明できるそうだ。
これらの影響をすべて足しても、双子の研究によって予測される8割という数値に満たない。しかし昨年発表されたヴィッセル氏らの研究によって、100人に1人しか持たないより珍しい突然変異で身長の差異の30%を説明できることが判明している。

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・具体的な身長を決定づける遺伝子はいまだ謎に包まれる
こうして双子の研究と遺伝子マーカーの研究の結果はほぼ一致したことになるが、発見された遺伝子マーカーの中で個々の遺伝子に紐付けられているものはほとんどないという批判もある。
「生物学的な意味において、相変わらずほぼすべてが行方不明なままです」と、米コロンビア大学のデビッド・ゴールドスタイン氏は第三者の立場からコメントする。
身長がおおむね親からの遺伝によって決まるということはほぼはっきりしているが、遺伝子の謎を追い求める研究者の探究はまだまだ続くようだ。
References:‘Landmark’ study resolves a major mystery of how genes govern human height / / written by hiroching / edited by parumo