本庶佑教授の課税処分の背景を元国税の税理士が解説! (1/2ページ)
先日、ノーベル賞学者の本庶佑教授について、大阪国税局が22億円の申告もれを指摘したという報道がなされました。この課税処分は、とある会社と本庶教授との間の特許権の使用料に対するものです。本庶教授は支払われるべき金額が少ないとして、受け取りを拒否していたようですが、支払うべき会社はそれを供託したということなのです。
■供託の意義
供託とは、国の機関である供託所に、賃料などのお金を預けることを言います。供託が使われる一例として、不動産賃貸があります。不動産を賃借する場合、その賃料の金額の多寡などを巡って、大家と店子の間で争いが起こる場合があります。
このような場合、最終的な解決は裁判になりますが、それまで店子がその不動産に住んでいたならば当然賃料を支払わなければなりません。しかし、解決するまでは大家が受け取りを拒む、といったような場合があります。こうなると、店子の方は賃料を払えず、後日「賃料を払わずに不動産を借りていたので賃貸借契約を解除する」などと指摘され、不利益を被る恐れがあります。
このような不利益を防止するため、店子は賃料相当額を供託所に供託することができるとされており、この制度が供託です。供託することで、たとえ大家が支払いを拒んでも、店子は賃料を支払ったことになります。
■供託の課税関係
供託の課税関係について、国税の通達においては、不動産所得について以下のような定めが設けられています。
1 不動産賃料の争いのため供託された場合 供託を受けた日にその金額を大家は収入に計上する必要があります。なお、供託をする店子は、そのタイミングで経費にすることが認められます。
2 賃貸借契約の有効性について争っており、供託された場合 判決等があったタイミングで、供託金に加え賠償金や遅延利息なども収入計上する必要があるとされています。
1と異なり、賃貸借契約そのものが有効か否かを争っているため、賃貸借契約を前提とした賃料も計上する必要はないとされています。
本庶教授のケースは、1に近いため、支払会社が供託した使用料は収入計上すべき、という指導を国税から受けた訳です。