新大関・正代、先場所での初優勝語る「注目されたくないです(笑)」

日刊大衆

画像はイメージです
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 11月8日、大相撲11月場所が幕を開けた。今場所の注目は、休場明けの横綱・白鵬の復活と、先場所で初優勝、大関に昇進した正代の活躍だろう。

「大関獲り」ノーマークから、一躍、新大関に出世した正代は、連続優勝がかかる場所でもある。「横綱への道も遠くない」とされる注目の正代に話を聞いた。

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ーー改めまして、秋場所の初優勝と大関昇進、おめでとうございます。周りの人から「大関」といわれることには慣れましたか?

正代(以下、正) ありがとうございます。昇進してすぐの頃は、「大関」と呼ばれても「誰のことかなぁ」と思ったりしていましたけど(笑)、近くに自分しか大関がいないから、「あ、自分のことか……」と。くすぐったいような気持ちもありましたが、だいぶ慣れてきたと思います。

ーー(笑)。秋場所を振り返ると、序盤戦から手応えは感じていたんでしょうか?

正 初日(隆の勝)、2日目(玉鷲)と自分の相撲で勝てたことは、幸先がよかった。でも、4日目、同い年で、ふだんから「負けたくない」と思っている照ノ富士に負けてしまったんです。自分は連敗グセがあるので、「黒星を引きずらないようにしよう」という気持ちで、5日目の北勝富士に勝てたのが大きかったですね。毎場所の目標は、勝ち越すことですから、10日目に照強に勝って勝ち越しを決めてからは、少し気持ちに余裕が出てきて、次は2ケタ(10勝)を狙っていきました。

ーー12日目に2ケタをあげた頃から、優勝戦線を引っ張る形になりました。「優勝」を意識し始めたのは、いつ頃ですか?

正 ……ウ〜ン。自分では意識しないように、一番一番と思っていましたけど、さすがに
14日目の大関・朝乃山(3敗)戦からは、気合いが入りましたね。相手はまわしを取ると力が出る。立ち合いで当たり勝ったので、そのまま攻めました。

ーーまさに圧勝。5秒弱の速い相撲でしたが、正代関渾身の一番でしたね。千秋楽を単独トップ(2敗)で迎えたときの気持ちは、いかがでしたか?

正 相手の翔猿(3敗)は、メチャクチャ動きがいいですからね。夜、12時くらいに寝ようと思っていたのに、翔猿戦の悪いイメージとかが頭をよぎって眠れないんですよ。

■「プレッシャーとは、こういうものか」

 実は、自分は今年の初場所でも千秋楽まで優勝争いをしていたんです。そのときも、地元・熊本の皆さん、所属する時津風部屋の後援者、母校の東京農大関係者から大きな期待を寄せていただきました。優勝を見越して、お祝いの鯛なども部屋に届いたのに、それらが日の目を見ることはなかった。そのときと違うのは、自分が単独トップに立っているということ。だから逆に「負けられないなぁ」と考え込んでしまって、気づいたら朝5時。プレッシャーとは、こういうものか、と思いましたね。

ーープレッシャーの中で迎えた翔猿戦は、どんな心境で臨みましたか?

正 心境もなにも、土俵下にいるときから、緊張していて、ほとんど記憶がないんです(笑)。「思い切り当たっていくしかない」とは思っていましたが、立ち合いの瞬間まで心臓の音が響くくらい、ドキドキしていて……。内容も覚えていなくて、最後、気がついたら相手が落ちていたという感じです。あのときは、「勝ててよかった」と思っただけで、優勝の実感は後から湧いてきた感じでした。

ーー熊本出身では初めての優勝、時津風部屋としても57年ぶりの優勝となりました。そして、千秋楽になって、「大関昇進」のムードも高まってきましたね。

正 ビックリしました。大関昇進には3場所で33勝以上という規定があるんですが、自分の場合、秋場所で14勝以上挙げなければ、その基準に届かないんです。それに、朝乃山や貴景勝などの先輩大関を見ても、33勝に届きそうな場所は「大関獲り」の場所とされて、メディアからもいろいろ取り上げられるし、本人も場所前からプレッシャーがかかるんですよ。ですが、自分の場合、秋場所前に「大関獲り」という話は表立って出てこなかったし、自分でも、その意識がないまま、千秋楽まで相撲を取れた。振り返ってみれば、過度なプレッシャーがなかったのが、良かったのかなぁ。力士ですから、注目や期待されることが嫌というわけじゃないんですが、自分、やっぱり注目されるのは苦手なほうなので……(笑)。

 現在発売中の『週刊大衆』11月23日号では、前頭・翔猿のインタビューも掲載している。『週刊大衆』を読んで大相撲観戦を100倍楽しもう。

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