何をやっても怒られる…新人医師のキツイ日常 (2/3ページ)
忙しくて新人の指導まで気が回らないというのもあって、誰が悪いという話ではないと今は思っていますが、当時は落ち込むことが多かったです。一方、先輩から何を言われても全然気にしない人もいるんですよね。そういう人は強いな、と(笑)。
――作中の設定とは違って、月村さんご本人は辞めずに踏みとどまれたとのことですが、踏ん張れた要因はどんなことだったのでしょうか?
月村:辞めよう辞めようとは思っていましたし、辞めてもおかしくなかったと思っていますが、そんな中でも簡単な手術を任せてもらえてうまくいったとか、次の手術を任されたとか、そういう小さな成果みたいなものはモチベーションになりました。
あとは、忙しく働いているうちに辞めるタイミングを逃したというのもありますし、落ち込みながらも一生懸命働いていること自体に充実感を持てたりもしました。こういうことがあって、なんとか持ちこたえることができたと思っています。
――「仕事を誰のためにするか」というテーマも垣間見えました。「外科医は自分のために仕事をするのが許される職業」ということが書かれていましたが、この真意について教えていただきたいです。
月村:これは僕もまだ完全には理解していないんですけど、そういう風に考えている先生はけっこういるんですよ。
――患者さんのためではなく、自分のためにやるというのがユニークですよね。
月村:外科医の中には手術がうまくなるために仕事をしているという人もいるくらいですからね。外科の仕事のメインは手術であって、手術は技術ですから、そういう考え方もありかなとは思います。
この世界は10年目15年目でも若手と言われるのですが、それだけ手術の上達には時間がかかるということなんです。だから、「長く続けること」というのがそもそも大事で、そのためのモチベーションとして「自分のためにがんばる」のが必要なんでしょうね。個人的にはちょっとどうなんだろう、とは思うのですが、そうやってモチベーションがはっきりしている人は、なかなか心が折れなくて強いです。