『水曜日のダウンタウン』まれに「良質な教養番組になる」説

日刊大衆

ダウンタウン
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 安田大サーカスクロちゃん(43)を筆頭に、放送コードギリギリの企画で芸人の本性が露わにすることも多い『水曜日のダウンタウン』(TBS系)。しかし、ごくまれだが、純粋に「勉強になるなぁ」としみじみと感じさせる、良質な教養番組としての側面を見せることもある。

 11月11日に放送された、『カニ、ほぼ“ガニ”と呼ばれてる説』が最たる例だ。

「カニに関して、“ズワイガニ”とか“タラバガニ”とかばかりで、“~カニ”はいないよね、という疑問から生まれた説です。番組では『生命の星・地球博物館』の無脊椎動物担当の専門家に取材したんですが、驚くべき事実が明らかになったんですよ」(制作会社関係者)

 専門家によると、日本には1255種類のカニがリストに登録されているが、“~カニ”と濁らずに呼ばれているカニは存在しないという。「ほぼ」どころか、1種もいなかったことにスタジオは大いに驚いていた。

 たむらけんじ(47)は「新種を見つけたら発見者が命名できる」という理論上“浜田カニ”も可能としたが、ダウンタウン松本人志(57)は「でも、たぶんみんな言う時は“浜田ガニ”って言うんやろな」と指摘。スタジオ全員が、「言いにくいからね」と意見が一致していた。

■過去にはギャラクシー賞を受賞したことも

「今回のカニの話は、ふつうに勉強になる雑学でしたよね。過去にも、純粋に雑学として勉強になる回や、しっかりしたドキュメント番組のような雰囲気を見せたこともあります。代表的なところだと、NPO法人放送批評懇談会が優秀な番組・個人・団体を顕彰する名誉ある『ギャラクシー賞』を受賞した15年の『徳川慶喜を生で見たことがある人はまだギリこの世にいる説』ですね」(女性誌記者)

 膨大な数のお年寄りに聞き込みを重ねた結果、マッカーサー元帥や大隈重信を見たり、1923年の関東大震災を経験した人も確認された。父が夏目漱石(1916年没)の教え子だったという人までが現れたのだ。

 そして、本当に最後の将軍・慶喜を生で見たことのある105歳生まれの人が確認された。東京・日本橋で慶喜の行列を見たと証言していたのだが、専門家に確認したところ、該当する出来事が当時記録されていた。専門家は「よく撮れた! これは感動的」と大興奮していたが、無理からぬことだ。ギャラクシー賞受賞も、納得である。

■コロナ禍の時事ネタでガラス瓶のリサイクルを紹介

「今年5月20日に、世間がコロナ禍で、名前のせいで風評被害を受けているという時事ネタから14年の『コロナ(ビール)の瓶に入ったライム、処分する人めっちゃ困ってる説』を再放送して、話題になったこともありました」(前出の女性誌記者)

 コロナビールは、355mlの飲み切りサイズがスタンダードで、瓶に櫛切りにしたライムを入れて飲むのがポピュラー。このライムがリサイクルの際に邪魔になるのでは、という説だった。

「バーで飲んだビンは酒屋が回収し、さらに“雑瓶屋”と呼ばれる業者が回収。ビンの色分けをしたらリサイクル業者へ移送してから、最後は機械で瓶を粉々に砕き、最後は“異物判別装置”でしっかりとライムを排除する、という過程が丁寧に紹介されていました」(前同)

 ドキュメントとして価値のある映像になっていて、「さすが水ダウ」「NHKみたいだった」「ふつうに勉強になる」「この時期にコロナビールを取り上げるのは何だか粋だなぁ」と、視聴者にも大好評だった。

■「トンビが鷹を生んだ」を真剣に調べたことも

「視聴者の涙を誘う感動的だった説としては、19年7月の『トンビがタカを生むにも限界ある説』が挙げられます。両親と子供の学歴格差を検証する企画で、“東大生の親がトンビ=低学歴”のケースはあるのか検証する企画でした」(専門誌記者)

 番組では「親が高卒」という東大生はそれなりにいたのだが、「中卒」はなかなか見つからなかった。しかし、終盤で「落語家を目指し高校中退したが、現在はカメラマン」という父親を持つ東大女子を発見。

 そして、その東大生は父親が自分の経験から勉強を心配してくれていたことを明かし、

「トンビが凄い育て方がうまかったからタカっぽくなったかなっていうのが正しいと思います。今の私があるのも親の育て方のおかげ」「トンビ側がタカにするかトンビにするか決めていると思います」としたのである。

「“学歴でトンビ扱いするのはどうなのか”という批判意見もありましたが、女性の親に対する考え方を“感動した”“すごくいい考え”とする声も多かったですね」(前同)

■新たなギャラクシー賞候補も生まれた

 今年に入ってからも、10月21日に『日本一の安宿1泊1000円切ってる説』と題して、日雇いや肉体労働の仕事が多い大阪の西成区では1000円を切るホテルは珍しくないという話のほか、関東圏では群馬県に1500円で泊まれるプレハブ小屋のプチホテルがあることを紹介していた。こちらもためになる知識だろう。

「10月21日はドキュメントでも、『NSC(お笑い養成所)時代に同期一の天才だった芸人、意外とくすぶってる説』と題して、ケンドーコバヤシ(48)やハリウッドザコシショウ(46)、ドランクドラゴン塚地武雅(48)などが“天才”と思っていた同期を探す企画がおこなわれました」(前出の女性誌記者)

 30歳を迎えたのを機に引退し、ラーメン屋やサラリーマンへと転身した芸人や、完全に消息不明になってしまった芸人などなど、多くの「その後」が描かれたほか、まだ現役だが、華々しい活躍ができていないチャンス大城(45)や天竺鼠の川原克己(40)なども紹介されたのである。

《笑う方の面白いというよりは史料として面白かったし少し切なくて感慨深かった》《ジャーナリズムとお笑いとペーソスとエンタメを兼ね備えていた。才能があるから成功するわけじゃないし、成功や幸せってなんだろうなと思わせる深みがあった。》《ドキュメンタリーっぽいし、芸人さんがみんな真剣に話をしてるしで、とても良い企画》 

 とSNSでは高評価で、「ギャラクシー賞もあり得るのでは」という声も多く見られた。

『水ダウ』には、これからも過激な企画をやりつつも、良質な神回を量産してほしいーー。

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