FPSゲームさながら。ネットワークを介しAR機能で兵士をサポートする次世代暗視ゴーグル(米)
米軍最先端の夜間暗視ゴーグルとサーマルサイト image byENVG-B & FWS-I Fielding
今も昔も、戦争もののゲームは戦場のリアルな表現を追求しているはずだった。だが最近では追う立場にあったはずのゲームが現実を追い越してしまったようだ。
米軍が開発中の次世代暗視ゴーグルは、ネットワークを介して各種デバイスと連携し、まるでゲームのヘッドアップディスプレイかのような表示で戦場の兵士をサポートする。
新たに公開された動画は、ハワイ、オアフ島で行われた兵器認定イベントの様子を映したもの。アメリカ陸軍第25歩兵師団、第3旅団戦闘団の兵士たちが、新開発の双眼型暗視ゴーグル「ENVG-B(Enhanced Night Vision Goggle-Binocular)」とサーマルサイト「FWS-I(Family of Weapon Sights-Individual)」の性能を試している。
ENVG-B & FWS-I Fielding
・暗視装置とサーマルセンサーを融合
その見た目はどこかゲームのVRゴーグルのようだが、映し出される映像もどこかゲーム的だ。
一般的な暗視ゴーグルを覗くと緑っぽい視界が得られるが、ENVG-Bの場合はうっすらと赤みがかかっている。これは暗視装置の映像に、サーマルセンサーからの映像を組み合わせているからだ。
これによって、昼夜や天候を問うことなく、しかも霧や煙が立ち込める中でのミッションといった視界が限られた状況であっても、ターゲットをいち早く発見することが可能になった。
高解像度の立体映像ディスプレイは奥行きまで表現し、さらにコントラストも改善されているために、ターゲットと背景をはっきり区別することができる。
・サーマルサイトと連携
特徴的なのは、M4カービンなどの銃にマウントしたFWS-Iとワイヤレスで連携できることだ。
FWS-Iが捉えた映像は、そのままENVG-Bに映し出される。くっきりと浮かび上がるように表示されるので、視界の悪い状況でも迅速にターゲットを補足することができる。
また兵士は銃を目の高さに構える必要がなくなるので疲労軽減につながり、さらに体を遮蔽物に隠したままターゲットを狙撃したりといったことも可能だ。
・ネットワークによる拡張性
ネットワークによる連携機能は、ほかの機器にも応用することができる。
たとえば状況確認システム「Nett Warrior」のようなシステムに接続すれば、地図や味方の位置といった情報をAR的に表示することができる。
また可能性としては、外部の有人・無人機と連携することも考えられるだろう。上空を飛行するドローンのカメラ映像とつなぎ、上空から戦場を見渡すことができれば、兵士に大きなアドバンテージを与えることは間違いない。
ENVG-B Goggle | L3Harris
References:futurism / thedrive / asc.army/ written by hiroching / edited by parumo