「まあ、第一回ぐらいはチェックしておくか」と何の気なしにチャンネルを合わせ、それから結局毎回見てしまう。すごく面白いというわけではないのだが、ダラダラと惹きつけられる感覚。そんなドラマがたまにある。今期でいえば、木村佳乃（４４）主演の連続ドラマ『恋する母たち』（ＴＢＳ系）である。

　第一回目は木村佳乃に驚いた。とても痩せていて、髪型もヘン。なのにカワイく見えてくる奇跡。この人の「心はいつも少女」感はすごい。セリフの発音と瞳が「好奇心いっぱいの、人気者の学級委員」なのである。近年はエキセントリックな役も多かったが、このドラマでの彼女は普通。地味なほど普通。だからこそ、演じている石渡杏が、久々の恋にウキウキし１０代返りしているリアルさが伝わってくる。

　そしてその恋のお相手、斉木を演じるのが小泉孝太郎（４２）。小泉は、若かりし頃は「性格が良く、やっかいな年上にも気に入られる理想的なボンボン」という立ち位置が似合っていた。が、４０歳を超え「かわいがられる年下」を演じる年齢を過ぎた今、「王様の優しさを持つやっかいな独身男性」がものすごくハマる！　優しくはあるが、どこか高みの見物、上から目線な男。

　第４話で杏に「結婚を前提につきあってほしい」というシーンがあったが、胸キュンどころか「は？」という感じだった。あれで「私も彼のことを好きだったんだ」と気づく杏は、よほど心が弱っていると思わずにいられなかった。あまりにもときめかない主演カップル。が、第５話の予告で「面倒くせえなあ……」と斉木が吐き捨てるシーンがあり、ここでやっと「出た出た、闇小泉出た！」と妙なときめきと興奮を覚えてしまった。

■実はハマっている矢作兼

　仲里依紗（３１）と阿部サダヲ（５０）のセレブカップルは、夫の不倫相手の山下のり子（森田望智／２４）がどんな手を使って壊しにくるかが心配。森田は、Ｎｅｔｆｌｉｘのドラマ『全裸監督』で培った演技力を余すところなく活かし、怪演女優の仲に負けず劣らずの存在感を放っている。私は「トップナイフ-天才脳外科医の条件-」（日本テレビ系）の頼もしい看護師・小沢役が好きだったので、今後はああいう「頼もしい味方」の役もどんどんやってほしいと思う。これからがとても楽しみな女優の１人だ。

　そして、個人的にこのドラマで楽しみにしているのが、ものすごく美しい吉田羊と、おぎやはぎの矢作兼（４９）演じる夫婦。磯村勇斗（２８）との不倫シーンもエキサイティングだが、矢作の安らぎオーラがたまらない。が、どうも第５話で様子が変わってきそうだ。怖い。いや、一番怖いのは、木村佳乃の姑役で出ている夏樹陽子（６８）だろうか。美魔女過ぎる！

　なんだかんだ、このドラマが大好きじゃないか、私。すごく面白い、というわけではないが、毎回、目を忙しく動かし、ああだこうだとチェックしてしまう。こういうドラマが結局、名作なのかもしれない、とも思う。（田中稲）