世界で唯一の白いキリンを密猟者から守るため、GPSを装着(ケニア)
image credit:savegiraffesnow/Instagram
美しく白いキリン3頭が、ケニアのイシャクビニ・ヒロラ保護区で目撃されて注目を浴びたのは2017年のこと。
白変種のキリンは同保護区でのみ確認されている希少な存在だったが、今年3月、密猟者により2頭が殺害されるという悲劇が報じられた。
残されたのはあと1頭のみ。唯一残された白いキリンを密猟者から守るため、このほどGPS装置が着けられ、24時間モニタリングできる措置が取られることになったようだ。
・3頭いた白いキリンのうち2頭が密猟者に殺害される
ケニアの北東部ガリッサ郡にあるイシャクビニ・ヒロラ保護区で、真っ白なキリンが初めて発見されたのは2017年6月のこと。
この白いキリン3頭はアルビノではなく白変種(リューシズム)で目は黒っぽい褐色をしている。当時、白いキリンの親子が共に行動する美しい姿はメディアやSNSで大きな注目を浴びた。
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しかし今年3月10日、うち母親と子の2頭が密猟者により殺害されるという悲劇が発生。これで白いキリンのメスは絶滅してしまった。
残る1頭のオスのキリンの安否が懸念されていたが、他のキリンの群れに混じって生存していたことが確認された。
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・世界で唯一現存の白いキリンにGPSを装着
11月8日、イシャクビニ・ヒロラ保護区ではこの希少な最後の白い1頭を守り抜くため、同保護区理事会がNorthern Rangelands TrustとSave Giraffes Nowの支援を受けて、ケニア野生生物公社(KWS)にデバイスを要求、GPS装置をキリンの角の1つに取り付けた。
これにより、白いキリンの位置情報は毎時更新され、保護区のレンジャーがその動きを追跡することができる。
保護区は、「野生生物種を保護するためのコミュニティーとの取り組みを促進する上で、複数の組織団体から多大な支援を得られたことを深く感謝したい」と声明文を発表した。
Northern Rangelands Trustの野生生物監視責任者アントニー・ワンデラさんは、次のように語っている。
私たちの使命は、コミュニティーと協力し、地域の回復力を高め、生計を確保し、唯一現存している白いキリンのような希少な野生生物を保護することです。
事実、白いキリン2頭が密猟者に殺害されたことで、、希少な品種を守ってきたケニア全土、そしてイジャラのコミュニティーは大きな打撃を受け、研究と地域の観光にとっても長期的な損失となった。
そのため、今後の安全対策が重視されていたが、今回GPS装置取りつけという措置をしたことにより、少なくとも過去よりは密猟者に対する警護が強化され、最後の1頭の保護への大きな1歩となったことは間違いない。
なお、国際自然保護連合(IUCN)によると、アフリカに生息するアミメキリンの個体数は、この30年間で40%も減少しており、現在絶滅危惧種に指定されている。
written by Scarlet / edited by parumo