髭男爵山田ルイ53世インタビュー(3)「娘がチョコレートプラネットやぺこぱを見て喜ぶのは少し寂しい」

日刊大衆

山田ルイ53世(髭男爵)
山田ルイ53世(髭男爵)

10月21日に双葉社から新刊『パパが貴族』を上梓した、お笑いコンビ髭男爵山田ルイ53世。本人によれば、本作は子育てエッセイではなく、娘に正体がバレまいとする日々を描いた防衛記録だという。スパイさながらのスリリングな、深すぎる思考に迫るインタビュー

ーー娘さんについて。『パパが貴族』でピコ太郎のPPAPとか、永野の「ラッセンが好き」をマネしている話がありました。娘さんもお笑いが好きな感じがしますね。

「好きだと思いますよ。『有吉の壁』(日本テレビ系)とか、『世界の果てまでイッテQ!』(前同)は必ず見てますし。あと、東野さん(東野幸治)が出てる、フジテレビの『芸能人ドッキリGP』。あれの東野さんがめちゃくちゃ好きらしいです」

ーー東野さんが、ですか?

「自分のやってるラジオ(ルネッサンスラジオ)の600回記念でゲストに来ていただいたり、東野さんがこの間『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)やったときに呼んでいただいたり(今年9月21日)。『ワイドナショー』(フジテレビ系)とかでも、お世話になったりと、親も大変お世話になっている方。

 勿論、娘はそんなこと知らないわけですが、その方を好きだという」

ーーそれはまた、プリキュア以上に葛藤が……(笑)

「僕、基本的に社交性ゼロで、芸能人に会っても“写真一緒に撮ってください”“(SNSに)あげていいですか?”みたいなの、一度もしたことないんです。何かしらの宣伝絡みとか除けば。

 自分からお願いするようなことはまずない。でも唯一、東野さんにだけはお願いして、一緒に撮っていただいた(笑)。SNSにも上げず、ずっとカメラロールに眠ってますが。娘に見せたい衝動に駆られることもあります」

■「同世代あるあるは、大切にしたい」

ーー娘さんはお笑いが好きなんですね。

「僕が小学校のころはテレビを見せてもらえなかったんで。中二くらいまで、テレビが家になかった。あった時期も、親の方針でNHKか『暴れん坊将軍』(テレビ朝日系)しか見れなかったんですよ。だから『ドリフ』とか『ひょうきん族』とか、お笑い番組を小学校のときに見た経験がないわけです。

 で、娘が小1、小2で『イッテQ』とか見てるわけです。『有吉の壁』とかもキャッキャ笑って見てるし。やっぱりその方が健全だなって。チョコレートプラネットさんのTT兄弟とかも、ふつうにマネしてますし。そうやって“同世代のあるある”を蓄積・共有していけるのは悪いことではないと思う。

 僕、芸人になってからしばらく、10数年前の下積み時代にすごく困ったことがあって。僕らの世代ってファミコン世代だから、並びの芸人たちが必ず『スペランカー』とかをネタにしてて」

ーーちょっとしたことで死んじゃう、すごく弱いゲームのキャラクターのことですね。

「そうそう。ほかにも『ゼビウス』(ナムコのシューティングゲーム)とか。でも、分からないんです。やったことも見たこともないから。そういう、同世代あるあるを共有しているっていう大事さ、共有してないことの寂しさを知ってるから、もちろん限度はありますけど人様なりには漫画読ませたりテレビ見させたり……。いいのか悪いのかは分からないですけど、僕はさせようと思ってます」

■「子どもが芸人のマネをしているのはちょっと寂しいですね」

ーー『イッテQ』が好きということは、出川哲朗さんとかが好き?

「出川さんも大好きですね。ただ、TT兄弟とかをマネしてるのを後ろで見ているのは、ちょっと寂しい。“俺も芸人なんだよ。かつて同じような人気者の立ち位置で、そこに映っていたことがあるんだよ”っていう複雑な気持ち(笑)」

ーーものすごい入り組んでますね

「“あっ、ぺこぱだー”ってなっても、“事務所(サンミュージック)ではパパの方が先輩なんだよ。もっと前に同じような感じでテレビに出てたこともあるんだよ。たまたまきみの人生とはズレちゃったけどね”みたいな。だから悲喜こもごもというか、複雑な部分もありながらやってますね」

ーーOfficial髭男dism(ヒゲダン)が流行してますが、これをきっかけに第二次ブームが起きたら正体は明かしますか?

「うーん、いや第二次ブームが来たら言いますよ。そこにはもう苦みの部分はないので」

ーー「一発屋」じゃなくなった確証があれば、カミングアウトしたい?

「いや、一発屋は別にいいんです。決して恥じてはいない。ようするに娘が分かる年になってから言えればいいな、と思ってて。ぶっちゃけた話そこまで卑下しているわけではないので。

僕、Yahoo!さんの方で『一発屋のお父さん』(※)の取材とかさせてもらってコラム書いたりしてるんですが、皆さん結構(子どもに正体を)言ってるんですよね。いままでジョイマン高木やムーディー勝山とかコウメ太夫さんとか取材してますが、たいてい、バレたり、自分から言ったりしてる。

 だから“何とかなるんだな”って気持ちもあるんですけど、ウチの場合はもうしばし、この状況を続けさせて頂いて、楽しませてもらおうと思います」

(※)Yahoo!ニュース『一発屋たちの子育て』

■「“信用が担保に出来ること”の大切さを話しています」

ーー出来たら、20歳まで?

「それがいちばんいいですね」

ーー娘さんを本気で怒ったことは?

「僕は滅多に声を荒げたりしない。あっても、ひと月に一回あるかないかくらい。

 やっぱり舞台で鍛えた声量と声の低さがあるんで、本気で声出すと、縮み上がってしまう。そこは気を付けてます。静かに言い聞かせる感じで、怒鳴ることはないですね。“○○するから××させて”みたいな言い方を娘がしてきて、その約束が守られなかった場合は叱りますね。

“別にええけども約束が守られなかったということは、その分パパとママの信用が減るってことだからね。あなたは信用を担保にして約束したわけだから”というような話をすることはあります」

ーー信用の話ですか。

「いま君に出せるのは、提供できるのは実績の積み重ねによる、信用だけなんだと。必ずやるという信用があるから、こっちの楽しいこともやらせてあげるよって話なんで。そこは守った方が良いねと。今回守れなかったら、次からやれることは小さく、少なくなることもあるよ?というような……」

ーーそういう話聞いてると、やっぱりステキな子育てのエッセイに聞こえます(笑)。

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