シャチの天敵は海にはいない。その最大の敵は陸にいる(カナダ・アメリカ共同研究) (2/2ページ)

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一方、若いシャチや大人のシャチの場合は、細菌感染症・病気・鈍的外傷だった。

 だが全年齢で見てみると、最大の死因は人間が関係するものだったそうだ。

 たとえば釣り針を飲み込んで死ぬこともあるし、漁網に絡まって死ぬこともある。また漁船と衝突して死亡することもある。

 これについてはこれまでにも関係者の話として伝えられたり、学術的な文献によって報告されたりしてきたが、今回の研究でも、そうした事故が実際に起きていることだけなく、それが致命傷になりうることが再確認された。

 さらに人間によって間接的に殺されていることも分かった。家庭や産業から排出される汚水が海に垂れ流され、そこに潜む寄生虫(トキソプラズマ症)などに感染して生命を落とすのだ。

シャチ
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・海の王者なのに絶滅危惧種

 海では生態系の頂点に立つシャチだが、だからといってこの一族全体が安泰というわけではない。たとえば南の海に暮らす「SRKW(Southern Resident Killer Whale)」と呼ばれる群れは絶滅危惧種だ。

 カナダやアメリカ政府はすでにシャチの保全に取り組んでいる。その一環として、シャチの生息域に水中音響レーダーを設置し、鳴き声を検出したら付近の船舶に速度を落とすよう注意を促すシステムが挙げられる。

 こうした取り組みに加えて、シャチが今どのような状況にあるのか大勢の人たちに周知することも、船との衝突を防ぐには大切なことだとラヴァーティ氏は説明する。

 また海に流れ込んだ汚水は世界中に拡散してしまうため、各国が協調して汚水から海を守るよう行動することが求められるとのことだ。

References:inverse/ written by hiroching / edited by parumo

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