「廃棄寸前でも騙して売る」悪徳マルチが操る“フルーツ売り”のヤバい実態 (2/2ページ)

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事務所に戻るとリーダーから「今日はがんばったね」と5000円が手渡されたという。

「広告に『プラスアルファ』とあったので、てっきりボーナスだと思ったのですが、その日の日当だと聞いてビックリ。つまり、『日給1万円も』という広告は100個手売りした場合で、実は完全出来高払いだったんです。結局1日で辞めることにしました」

 こう振り返るA子さん同様、駅前でのフルーツや野菜販売の仕事をして広告と異なった扱いを受けたというケースは後を絶たないという。全国紙社会部記者が言う。

「これは、典型的な『やりがい搾取』です。これは『労働マルチ』とも呼ばれる悪徳商法で、おそらくA子さんの売上の何割かはグループのリーダーに渡り、またその上の役職の人物にも何割かが入る仕組みなのでしょう。『がんばれば搾取する側にまわれる』という“やりがい”を植えつけることで従業員を低賃金で働かせるというもの。その舞台装置が自己啓発的な朝礼や、いつかは独立できるといった目標設定なんです」

 コロナ禍で仕事を追われた若者から「新鮮なフルーツ、買ってくれませんか?」と声を掛けられれば、つい「少しなら……」と思うのが人情だが、こうした搾取の構造も頭に入れておくべきだろう。

(灯倫太郎)

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