世界初、極端に脚の短いのキリンが発見されていた(アフリカ):追記あり

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世界初、極端に脚の短いのキリンが発見されていた(アフリカ):追記あり
世界初、極端に脚の短いのキリンが発見されていた(アフリカ):追記あり

足の短いキリンが発見される Giraffe Conservation Foundation/Facebook

 アフリカのウガンダとナミビアで極端に脚の短いキリンが発見されていたた。 

 このほど2015年と2018年に発見された、脚の短い2頭のキリンについての論文が、昨年12月の学術雑誌『BMC Research Notes』に掲載された。

 研究者によると、このキリンは遺伝子異常により骨格異形成となった「ドワーフィズム(小人症)」を発症している可能性が高いということで、野生生物では非常に希少な症例であり、世界初ではないかと言われている。『Live Science』などが伝えている。

Dwarf Giraffes Spotted

・ウガンダとナミビアで脚が短い子供のキリンを発見

 2019年12月30日に『BMC Research Notes』で発表された内容によると、この論文の執筆者でありキリン保全基金『Giraffe Conservation Foundation』および米スミソニアン保全生物学研究所『Smithsonian Conservation Biology Institute』の研究員マイケル・バトラー・ブラウンさんは、ウガンダのマーチソンフォールズ国立公園で2015年12月15日に脚の短いキリンを発見した。



 通常の大人のキリンが体長4.2~5.7メートルあるのに対し、その子供のキリンは半分ほどの高さしかなく、まるでキリンの頭と首が馬の胴体に乗っているかのように、脚が極端に短かったという。

 更に2018年5月10日には、ナミビア中央部の私有農場でも脚の短いキリンを発見。



 ウガンダのキリンには、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のドワーフ(小人)にちなんでギムリ、ナミビアのキリンにはナイジェルと名付け、研究チームは観察を続けた。


・遺伝子異常の骨格異形成によるドワーフィズムか

 ブラウンさんら研究者たちは、2頭のキリンを他の同年齢のキリンと比較するなどして比率の研究を続けた。

 発見時はまだ子供とみられた2頭のサイズを、レーザー光線により対象物の距離を測定し、実際の大きさを算出する写真測量法を使って計測。

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a)通常サイズのオスのキリン b)ウガンダのギムリ c)ナミビアのナイジェル image credit:BMC Research Notes

 その結果、ギムリの体長は約2.7メートル、ナイジェルは約2.6メートルと、通常のキリンのサイズの半分ほどであることがわかった。

 また、つま先から(Phalanx)、中手骨(metacarpal)、橈骨(radius)と3つに分かれているキリンの脚を測定してみると、ギムリは正常固体とほぼ同様の趾骨のサイズだったが、ナイジェルは平均よりも著しく短かく、中趾骨と橈骨においては2頭とも平均以下だったという。

 これらの研究結果から、2頭は遺伝子異常による骨格異形成、つまりドワーフィズムを引き起こしている可能性が高いと推定された。

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image credit:Giraffe Conservation Foundation/Facebook

 人間に加え、犬や牛、豚など家畜にはこうした「小人症」が見られることがあるが、野生生物では非常に希少な症例であり、今回の発見は世界初かもしれないと言われている。


・ドワーフィズムは生存に不利になる可能性も

 これまでの観察研究で、ギムリとナイジェルがドワーフィズムが原因による健康面での問題は特に見られていないそうだ。

 しかし、研究者はこのように懸念する。

脚が短いこのギムリとナイジェルには、捕食者に遭遇した際に効果的に走ったり蹴ったりする能力が欠けていると思われます。

健康には異常が見られなくても、捕食者に捕らえられやすくなれば長く生存できる可能性は低くなります。

また、この2頭はオスであることが判明してますが、平均体長が4.3メートルのメスのキリンとの交尾は、踏み台でもない限り不可能なため、繁殖行為はできないでしょう。

 Giraffe Conservation Foundationによると、ギムリが最後に目撃されたのは2017年の3月。ナイジェルにおいては、去年7月だそうだ。研究者たちは、2頭が今でも元気で生存していることを願っている。

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 なお、アフリカではキリンの個体数が激減しており、Giraffe Conservation Foundationの調査では現在キリンは世界中で11万頭のみが生息している推定されている。

 Giraffe Conservation Foundationのディレクター兼共同創設者のジュリアン・フェネシーさんは、「私たちは野生のキリンについて、まだまだ学ぶことがたくさんある。手遅れになる前にキリンの個体数を救いたい」と語っている。

 この論文は『BMC Research Notes』に掲載された。

追記(2021/01/13):
日本のキリン研究者、郡司芽久さんのTwitter(@AnatomyGiraffe)の投稿によると、1歳のキリンの子供の身長は3メートル強程度で、今回発見されたキリンは、大人のキリンと比べれば半分程度だが、同世代のキリンと比べたらやや小さいくらいだそうだ。

Live Science / iflscience / written by Scarlet / edited by parumo
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