燃える山。炭層火災で6000年も燃え続ける「バーニング・マウンテン」(オーストラリア)
6000年燃え続ける山 Brett Touzell
オーストラリアのニューサウスウェールズ州ウィンジェンには、約6000年もの間燃え続けている山がある。
通称「バーニング・マウンテン(燃える山)」として知られているこの山は、その名の通り世界最古の炭層(石炭がある地下層)火災として、山の地下30メートル下にある炭層が、長きにわたりゆっくりとくすぶり続けているという。
Drone at Burning Mountain
・世界中で起こる炭層火災
地下で炭層が燃え続けているという現象は、決して珍しいことではない。実際には、世界中で約1000の炭層が一度に燃えていると推定されている。
こうした火災は、通常石炭が豊富な発展途上国で発生する傾向にあり、たいていは数日~1か月ほどで消火されるという。
しかし例外もあり、インドのジャリア地区にあるジャリア炭田のように100年以上にわたり継続的に燃えている場所もある。
また、映画『サイレントヒル』のモデルとなったこともある廃墟化したアメリカ・ペンシルベニア州セントラリアの町では、1962年に発生した原因不明の坑内火災が今でもまだ燃え続けている。
更にドイツ・ザールラントのドゥットヴァイラーとズルツバッハ=ノイヴァイラーの間にある渓谷のブレンネンダー・ベルクは、1688年に始まったとされる炭層火災で、セントラリア同様、正確な火災の原因はわかっていないと言われている。
これらの中でも、オーストラリアの「バーニング・マウンテン」は、世界最古の自然による炭層火災として知られている。
image by:nationalparks.nsw.gov.au
・約5500~6000年もの間燃え続けているウィンジェンの「バーニング・マウンテン」
シドニーの北約300kmに位置するこの山は、推定5500~6000年前から燃え続けているとされており、その昔この山を所有していたアボリジニたちの間では、天空の神“ビアミ”によって石に変えられてしまった女性の燃えるような涙がこのバーニング・マウンテンなのだと伝えられていたという。
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実際のところは、山の地下30メートルほど下で炭層がくすぶり続けており、初期にここを探検した専門家らは火山活動の明らかな兆候を示唆していたそうだ。
image credit:wikipedia.org
長い間、ゆっくりと燃え続けていることで、山の土壌は変色し、地表面は不均一になった。噴煙口に近付くにつれ、まるでハゲ山のようにむき出しの不毛な土壌が広がり、植生が地下火災の影響を受けていることは明らかだ。
しかし、こうした外観にもかかわらず、ここは多くの人が訪れる観光名所となっている。
資源大国と言われるオーストラリアで、この山は南のほうから年間およそ1メートルのペースで、ゆっくりと炭層火災が発生しており、およそ6000年の間、静かに世界最古の歴史を紡ぎだしてきたようだ。
Burning Mountain NSW
written by Scarlet / edited by parumo