いつも一緒の仲良し三柱(トリオ)!塩釜神社に祀られている神様たちを紹介

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いつも一緒の仲良し三柱(トリオ)!塩釜神社に祀られている神様たちを紹介

皆さん、初詣はもう行きましたか?このコロナ禍ですから、密となりやすい人気スポットは避けて、地元の氏神様へお参りするのがおすすめです。

かく言う筆者も近所の鹽釜神社(しおがま。以下、塩釜神社)へお参りしましたが、ここは神奈川県で唯一(※神社庁の登録による)の塩釜神社となります。

鹽釜神社へ初詣。本年もよろしくお願い申し上げます。

子供の頃からよくお参りしてきたこの塩釜神社にお祀りされている神様は、以下の三柱(※柱は神様を数える単位)です。

一、塩土老翁神(しおつちのおぢのかみ)
一、武甕槌神(たけみかづちのかみ)
一、経津主神(ふつぬしのかみ)

社殿に掲げられた由緒書きによると、その御神徳(ご利益)は延命長寿産業開発海上守護安産守護武徳(武道全般)とのことですが、塩土老翁神はじめ、彼らは一体どういう神様なのでしょうか。

そこで今回は、こちら三柱の神様について調べたので、ごくざっくりながら紹介したいと思います。

塩土老翁神(しおつちのおぢのかみ)

【別名】塩椎神(しおつちのかみ)、塩筒老翁神(しおつつのおぢのかみ)、塩釜明神(しおつちみょうじん)、事勝国勝長狭神(ことかつくにかつながさのかみ)など

塩土老翁神。小林永濯『鮮斎画譜』より。

「しおつち」は「潮津智(潮流の神格)」「潮津路(海の道)」に通じるため、航海安全の神様と解釈されています。

塩土とは海辺の砂を意味し、昔は海水を釜で煮詰めて塩を採ったことから、人々に塩の作り方を教えたとも言われています。昔は製塩が大きな産業でしたから、産業開発のご利益はここから来ているのでしょう。

老翁は文字通りおじいさんの姿をしており、それが延命長寿のご利益を、母なる海を司ることから安産守護のご利益も兼ね備えていったものと考えられます。

武甕槌神(たけみかづちのかみ)

【別名】建御雷神(読み同じ)、建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)、建布都神(たけふつのかみ)、豊布都神(とよふつのかみ)、鹿島明神(かしまみょうじん)など

地震(大ナマズ)を抑える武甕槌神。Wikipediaより。

かつて伊邪那岐(いざなぎ。伊弉諾)命が、妻・伊邪那美(いざなみ。伊弉冉)命を焼き殺してしまった我が子・火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)の首を刎ねた際、飛び散った血から生まれました。

伊邪那岐の振るった剣・天之尾羽張(あめのおはばり)と交わった子なので剣の神となり、別名が表わすように雷(いかづち)の神でもあります。

他にも地震(大ナマズ)を封じる神様だったり、相撲の元祖だったり、武徳を司る軍神として有名です。

経津主神(ふつぬしのかみ)

【別名】布都怒志(読み同じ)命、伊波比主神(いわいぬしのかみ。斎主神)、香取明神(かとりみょうじん)など

火之迦具土神の血から生まれた石析神(いわさくのかみ)の孫ですから、武甕槌神の又甥(※)に当たるのかも知れません。

(※)武甕槌神が火之迦具土神の子ではなく孫であるとする説もあり、その場合は従甥になります。

刃が空を斬り裂く音の神格化(イメージ)。

フツとは刃が空を切る(あるいは物をブツ切りにする)音、あるいは勇気がフツフツと沸き起こる擬音語などが語源とされ、こちらも武勇と剣の神様として、神話ではよく武甕槌神とコンビで活躍します。

三柱が一緒に祀られている理由は?

さて、それぞれのプロフィールはごくざっくり分かったけど、何でこの三柱が一緒に祀られているの?という疑問が湧いて来ます。

『日本書紀』によれば、塩土老翁神が皇室の初代である神武天皇(じんむてんのう)に「東方によい土地がある」と進言して道案内を務め、朝威にまつろわぬ者たちを征伐するため武甕槌神と経津主神が派遣されたそうです。

「御二柱の武威をもってすれば、ほどなく東国は平定されましょうぞ!」

果たして奥州まで平定すると、任務を終えた武甕槌神と経津主神は去って行きましたが、塩土老翁神は現地(現:宮城県塩竈市)に留まって人々に知恵を授け、末永く祀られるようになったのでした。

鹽竈神社の総本社。Wikipediaより。

……と言うのが、現在の鹽竈神社。全国の塩釜系神社の総本社に当たります。それで塩土老翁神だけでなく、ご縁のあった二柱も一緒にお祀りしているということです。

ちなみに、神奈川県で唯一の塩釜神社は江戸時代末期、仙台藩に奉公した娘が里帰りに際して分霊(※神様の魂を分けること)したことに始まり、現代に至っています。

有名な人気スポットばかりでなく、こういう地元の神社にもそれぞれ立派な神様がいて、お連れしてくるまでの歴史ドラマが隠されているもの。せっかくですから、身近な神社にも興味関心を持っていただけると嬉しいです。

※参考文献:
吉田茂穂 監修『鎌倉の神社小事典』かまくら春秋社、2002年6月
薗田稔ら編『神道史大辞典』吉川弘文館、2004年7月

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