開業医が自身の経験に基づいて語る、あまり知らない「医療法人経営」の実態 (2/3ページ)
田畑:本書にも書かせていただきましたが、基本理念として「患者介護利用者最善サービス」「医療介護質的向上」「個人尊重」の3つをあげ、その実現のために実行すべき5つの「S」を定めました。
それが「Secure(仕事は確実に行います)」「Speedy(素早く行動します)」「Smart(最良の判断で治療します)」「Smile(笑顔ある環境を創ります)」「Service(慈愛の精神を大切にします)」の「5S」です。
明生会では、この「5S」を大切なモットーとして引き継いでいます。
――理念づくりに困っている医療法人の経営者に対してはどんなアドバイスがありますか?
田畑:組織があり、そこには職員がいて、そして患者さんがいる。そこに関わる人たちが納得する言葉を使うことが大切なのではないかと思います。
――現在、医療施設だけでなく介護施設にも事業を拡大されています。介護にも事業を拡大した理由はなんですか?
田畑:明生会が経営するクリニックは人工透析がメインで、来院する患者さんの平均年齢はおよそ69歳前後。つまり、高齢の方が圧倒的に多いんですね。だから、いずれは私たちも高齢者の介護分野に向き合わないといけないと思っていました。また、介護保険の対象が65歳以上という背景もあります。
そこでまずチャレンジしようということで、訪問介護ステーションを開所したのですが、あまり患者さんが来なかったんです。なぜかというと、人工透析が必要な患者さんは、申請すると「身体障害者一級」に認定され、医療費の助成を受けられ、健康保険の自己負担分が無料または減額になるなど、さまざまなサービスを受けられるんですね。
また、人工透析をきちんと行っていれば、それ以外は普通の人と変わらないので、元気に働くこともできます。だから、人工透析者イコール介護が必要とはならないんです。
――つまり、当初の見立てが外れてしまったわけですね。
田畑:そういうことです。