イマジナリーフレンド(架空の友達)がいることは心の病ではない。孤独を埋めてくれる大切な存在

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イマジナリーフレンド(架空の友達)がいることは心の病ではない。孤独を埋めてくれる大切な存在
イマジナリーフレンド(架空の友達)がいることは心の病ではない。孤独を埋めてくれる大切な存在

イマジナリーフレンドの効用/iStock

 幼い頃、イマジナリーフレンド(空想で作り上げた友達)がいたという人はいるだろうか?

 面白いことに、そうした想像上の友達は、自分の空想の産物でありながら思い通りにコントロールすることはできない。彼らには意思のようなものがあるらしく、たとえば「今日は忙しいから遊べない」などと生意気なことを言ってくるのだという。

 こうした体験は子供に限った話ではない。そして、大人が作り出すイマジナリーフレンドは、ネット上では「タルパ」と呼ばれているそうだ。
・イマジナリーフレンド「タルパ」の作り方

 タルパとは、チベット仏教の言葉で「化身」という意味だ。また、これを呼び出せる人のことを「タルパマンサー」という。

 大人が子供がよく空想する想像上の友達とは違い、タルパを呼び出すには数か月もの努力がいる。

 今のところ科学的に裏付けのあるタルパを作る方法はないが、できるだけ詳しくタルパを想像し、1日に1時間以上も話しかける必要があるようだ。

 タルパに無理やり話をさせようとしてはいけない。タルパに準備ができたとき、向こうから話しかけてくるようになるのだという。

 今のところ確実にタルパを呼ぶ方法は確立されていない。だが彼らが孤独を強いられた人たちの慰みになる可能性を秘めているという。

イマジナリーフレンド、タルパ
iStock

・イマジナリーフレンドがいることは心の病ではない

 イマジナリーフレンド(タルパ)がいるということは、いつも側に話し相手がいるということだ。

 だからタルパを作る動機で一番多いのは、孤独を紛らわせたいというものだ。あるいは何かアドバイスが欲しいという人や、人前に出ると不安を感じるのでそれに慣れる練習をしたいという人もいるようだ。

 それはどこか心の病を連想させるが、その可能性は低いという。

 2017年の研究では、「タルパは複数の(意識の)経験であり、最適な機能・幸福・心の健康と共存していると思われる」と結論づけている。

イマジナリーフレンドがいることは心の病ではない
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・タルパは自分を守ってくれる存在

 驚きなのは、タルパが不思議な現象であるばかりか、状況によってはきちんとした利用価値があることだろう。

 ときに人は孤独を強いられ、そこからなかなか抜け出せないことだってある。たとえば服役中の人が何かの罰として独房に入れられることがある。それは想像以上に過酷な体験で、長期間周囲から隔離されてしまうと、やがて精神が崩壊してしまう。

 また病気でほとんどコミュニケーション能力を奪われてしまう人もいる。脳梗塞などで発症する閉じ込め症候群の患者は、意識がはっきりして周囲のことをきちんと認識しているにもかかわらず、体を動かすことができない。できるのは眼球を上下に動かしたり、瞬きすることくらいだ。

 こうした人たちに、想像上の友達ができれば、どれだけ心強いことだろうか。ある意味タルパは自己防衛本能が作り上げた、自分を守るための友達なのだ。

 タルパは宇宙飛行士にとってもいい相棒になるかもしれない。

 彼らの孤独とメンタルヘルスの悪化は、宇宙旅行の大きな問題の1つとされている。閉じ込め症候群の患者と同じように、地球から遠く離れる宇宙飛行士もまた隔離された状況にあるからだ。頭の中で暮らすタルパなら、そうした孤独を癒してくれるに違いない。

References:Can You Treat Loneliness By Creating an Imaginary Friend?/ written by hiroching / edited by parumo
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