AKB48の選抜総選挙「誰も損しない魔法のようなシステム」によってアイドルの選抜争いは国民的関心事に! (2/2ページ)
ただアイドルは打率や防御率のような明確な数字がないため、選抜メンバーを選ぶのは難しい。運営スタッフは、ビジュアルやパフォーマンス、SNSの影響力などさまざまな尺度で、時には感覚で決めている。
アイドルにとって選抜メンバーに選ばれることはものすごく大きい。テレビや雑誌などの露出が増え、さらなるファンが獲得できる。もちろん仕事量も段違い、忙しいメンバーは寝る時間もなく仕事。一方で非選抜メンバーは1週間に数日しか仕事がない。収入も少ない。それが嫌になって卒業してしまうメンバーもいる。
選抜メンバーは運営が選ぶものであり、ファンは関与できない。そのシステムをぶち壊すものとしてAKB48が打ち出したのが選抜総選挙だった。選抜メンバーをファン投票で決めようというイベントだ。投票券をCDに付けたことでレコード会社は売上アップ、ファンは自分たちの力で推しメンを選抜メンバーに入れることができる。誰も損しない魔法のようなシステムであった。その熱狂はアイドルファンにとどまらず、開票の模様はテレビのゴールデンで生中継、結果が翌日のスポーツ紙の一面を飾るなど社会現象を巻き起こした。当時の絶対的センターであった前田敦子が大島優子に敗れた2010年の選抜総選挙は、前年に自民党が民主党に敗れた政治になぞらえ、政権交代と評されるなど、アイドルの選抜争いが国民的関心事になってしまった時代もあった。
そのほかに純粋に運だけで選抜メンバーを決める、じゃんけん大会も行なわれた。第1回では一度も選抜に入ったことのない内田眞由美が優勝し、前田敦子や小嶋陽菜といった選抜常連メンバーを従えて『チャンスの順番』を歌う様子は痛快でもあった。
(EX大衆2021年2月号「アイドルにとって選抜とは何かを考える」AKB48)取材・文●関根弘康